バイオバンク・コホート調査
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東北メディカル・メガバンク計画では、2013年よりコホート調査を実施しています。コホート調査により収集された試料や情報は、バイオバンクに集積され、一部は全国の研究者に利活用されています。
ここでは、コホート調査の内容、そしてバイオバンクに格納されている試料や情報についてご紹介します。
- 東北メディカル・メガバンク計画 コホート調査のあゆみ
- コホート・バイオバンクの試料と情報の種類 (コホート調査全体・分譲対象)
- バイオバンク情報の利用
- コホート調査で得られた試料と情報について (セキュリティ・データクリーニング・データモニタリング)
- 共同研究
- 関連論文、関連プレスリリース
東北メディカル・メガバンク計画 コホート調査のあゆみ
コホート・バイオバンクの試料と情報の種類
コホート調査により収集された様々な試料や情報はバイオバンクに格納されます。それぞれの試料や情報は ID により管理され、様々な情報を縦断的に解析することができます。どのような試料や情報があるか、「コホート調査全体」と「分譲対象」のそれぞれについてご紹介します。
コホート調査全体
コホート調査で収集したすべての試料・情報は以下となります。一部の検査結果は郵送もしくはスマートフォンアプリマイToMMoで回付しています。
種類 | 内容(2022/12月時点) |
基本情報 | |
コホートの種別 | 地域住民コホート(宮城): 5.2万人(特定健康診査共同参加型3.8万人、地域支援センター型1.4万人) 詳細は こちら から。 |
地域住民コホート(岩手): 3.2万人(特定健康診査共同参加型2.6万人、サテライト型0.6万人) | |
三世代コホート: 新生児コホート7.3万人、胎児コホート7.4万人。※第2期追加リクルート(収集中) 詳細は こちら から。 | |
生体試料(保管状態については こちら をご覧ください) | |
生体試料 | 血液(採血できない場合は唾液もしくは臍帯血)と尿: 15万人 血液由来の試料:DNA、血漿、血清、単核球、EBV不死化細胞、増殖T細胞 |
妊婦、新生児の生体試料 | 臍帯血:1.9万人、母乳:1.8万人(生後1ヶ月) |
口腔内試料 | 歯垢・唾液・舌苔(成人):約2.5万人(詳細三次調査で同一の人に対して再収集中) 歯垢(子ども):約1.3万人 |
検査情報 | |
検体検査情報 | 血液・尿の検体検査情報(血液学的検査(血球計算, 白血球分画等)、生化学的検査、免疫学的検査(アレルギー検査等)、尿検査): 15万人 |
詳細検査情報(ベースライン) | 成人、子ども共通:身長、体重、聴力検査、眼科検査、口腔内検査 |
成人のみ:推定中心血圧検査、頸動脈エコー検査、体組成検査、骨密度検査、呼吸機能検査、握力測定、脚伸展力測定、歩数測定など:2.6万人 | |
子どものみ:腹囲、頭囲、眼軸長検査 | |
脳と心の健康調査 | MRI撮像画像(頭部、一部<約4千人>で腰・膝)、脳と心の検査:(1回目)1.2万人、(2回目)7千人、(3回目)収集中 |
詳細二次調査 | 成人、子ども共通:身長、体重、血液・尿の検体検査情報、聴力検査、眼科検査、口腔内検査、心電図検査 成人と特定の年齢の子ども:体組成検査、骨密度検査、呼吸機能検査、握力測定 |
成人のみ:推定中心血圧検査、頸動脈エコー検査、呼気NO検査、握力測定、家庭血圧検査、歩数測定 | |
子どものみ:腹囲、頭囲、眼軸長検査、視力・屈折検査 | |
詳細三次調査(収集中) | 成人、子ども共通:身長、体重、血液・尿の検体検査情報、聴力(純音)検査、眼科検査、口腔内検査、心電図検査、体組成検査、呼吸機能検査、握力測定、血圧検査、ライフログデータ |
成人のみ:頸動脈エコー検査、家庭血圧検査、骨密度検査、記憶力・思考力の検査(Mini-Cog®)、COVID-19抗体検査(終了) | |
子どものみ:腹囲、視力、発達検査(Gazefinder) | |
調査票情報 | |
基本調査票 | 基本情報(血液型、学歴など)、飲酒、喫煙状況など。詳細は こちら から。 |
追跡情報 | 郵送(電子的な返信も実施)による調査は約1年おきで、内容は仕事の状況や健康チェックなど。詳細二次調査参加者は調査会場でのタブレットによるアンケート調査と自宅記入型の調査を実施する。詳細は こちら から。 |
三世代コホート調査関連 | 三世代コホート調査の新生児の家族を対象とする子どもに関する調査。郵送(電子的な返信も実施)により実施する。詳細は こちら から。 |
スマートフォンアプリで収集する情報 | |
マイToMMo | 利用者の入力による、妊婦健診、乳幼児健診、学校健診、特定・職域健診の結果および予防接種、体重・血圧・体脂肪率・腹囲の情報(収集中) ウェアラブルデバイス(Fitbit)により取得されたライフログ情報(収集中) |
ToMMoバイタルアプリ | 日々の歩数、体重、血圧、体脂肪率等:423人、中央値 296日間 四分位範囲 406.5 – 181日間 |
ドライアイリズム | 基本情報(ドライアイ診断の有無、身長、体重等)、OSDI質問紙票、まばたき測定等:1千人 |
マタニティログ | 血圧や体調などのライフログデータ:300人(妊娠初期から産後1ヶ月まで定期的に血液・尿・歯科検体も収集) |
その他 | |
家系情報 | 血縁情報と同居状況(父方祖父0.8千人、父方祖母1.3千人、母方祖父1.7千人、母方祖母4.3千人、父8.8千人、母2.2万人、同胞9.5千人、新生児2.3万人)詳細 |
公的情報 | 医療機関の診療情報、公的情報等を収集中 詳細 |
共同研究(アドオン調査で実施) | 味覚機能、尿中ナトカリ比、活動量、睡眠状態:9千人 |
妊娠初期から産後1ヶ月まで定期的に血液・尿・歯科検体、血圧や体調などのライフログデータ:300人 | |
乳酸菌飲料および発酵乳の摂取状況(調査票):4.5万人(便サンプルも収集:2.5千人) | |
妊婦の心拍情報、生活パターン、心の変化、歩数、睡眠パターン:500人 | |
皮膚観察(頸部、四肢)、皮膚の写真撮影:子ども5千人、その家族3千人 | |
嗅覚テスト:1.7千人 | |
眼底血管撮影、毛細血管(爪の内側)の観察、採血:(1期)1.8千人、(2期)収集中 | |
まばたき測定、OSDI質問紙票:1千人 | |
安静・閉眼、活動時の脳波:1千人 | |
腸内細菌叢(便から抽出したDNAとその解析結果):300人 | |
ウェアラブルデバイスを用いた1年間の睡眠状態・心拍・活動量:2千人(収集中) | |
レム睡眠行動異常症スクリーニング問診票:1千人 | |
採血(リキッドバイオプシーマルチオミックス):200人(収集中) | |
3種類の認知機能検査(スマートフォン、VR機器):500人(収集中) |
分譲対象
一部の試料・情報については分譲を行っています。各リリースにより分譲する内容や対象が異なります。詳細は 分譲する試料・情報について をご覧ください。分譲は、審査委員会による審査が必要となります。申請の方法は こちら をご覧ください。
バイオバンク試料・情報の利用
多くの研究者にバイオバンクの試料と情報を活用していただけるよう、データシェアリングの促進を図っています。希望する情報の種類をクリックしてください。
コホート調査で得られた試料と情報について
セキュリティ
東北メディカル・メガバンク計画におけるバイオバンクには、名前、住所等の個人情報のほか、各種検査値、そして遺伝情報が含まれます。これらの情報が流出すると、将来罹患する可能性のある病気や予期せぬ血縁関係などが第三者に漏れるという事態になりかねません。このため遺伝情報を含むバイオバンクでは強固なセキュリティ対策が必要となります。一方、これらの情報は研究を推進する資産として多くの研究者にデータシェアリングされるべきと考えています。通常データシェアリングする情報の範囲が広ければ広いほど漏えいのリスクは高まるため、私たちはセキュリティとデータシェアリングを両立させるべく様々な対策を行っています。
具体的な対策については こちら から。
データクリーニング
研究に適した品質を保ち精度が高いデータを提供するため、ToMMoではデータクリーニングを実施しています。次のような項目があった場合には、データの補正もしくは注意書き(フラグ)を付けます。
・調査票データ(参加者が記入) 明らかに誤りである項目(例:同一個人で 身長50cm 体重160kg) 手書き文字の補正(例:服用薬の商品名)
・異常値 検査ミス、機器の異常や故障
データモニタリング
長期間にわたりデータを収集していると、測定した季節や検査者により値に偏りが生じる場合があります。データを定期的にモニタリングすることにより、データの偏りの傾向が明らかになるので、場合によってはデータを補正します。
共同研究
アドオンコホート
コホート調査の追跡調査では、企業や他の研究機関と共同した「アドオン(追加)コホート」を積極的に導入することにより、調査の充実をはかっています。調査参加者の新たな同意のうえで、共同研究機関が希望するアンケートの追加質問項目や特定の機器を用いた検査などを追加実施しています。実施中および実施済の主なアドオンコホートは以下です。
脳画像・認知機能と関連した研究
・簡易型双極脳波計を用いた脳波と認知症・抑うつ指標の関係探究検査—大日本住友製薬株式会社
・脳画像撮像における眼底微小循環とメタボローム測定による関連解析—東北大学病院眼科
・感覚受容体の遺伝子多型と感覚特性、生活習慣、疾病に関する統合情報解析—株式会社豊田中央研究所
・日本人における認知機能検査の標準化のための実証研究—国立長寿医療研究センター
日常生活のモニタリングと関連した研究
・ウェアラブル機器による生活習慣データ取得と、健康・疾患との関連性を解析する研究—第一三共株式会社、武田薬品工業株式会社、株式会社MICIN
・生活習慣測定デバイスを活用した家庭での身体活動、食事、睡眠の測定および各生活習慣要因と家庭血圧値との関連研究—オムロン ヘルスケア株式会社
・栄養・生活習慣・炎症に着目したうつ病の発症要因解明と個別化医療技術開発—東北大学病院精神科
・妊婦の時系列でのオミクス、ゲノム情報と日々のライフログとの統合情報解析—株式会社NTTドコモ
腸内細菌と関連した研究
・疾病罹患・生理機能低下と関連する腸内細菌叢の横断的・縦断的解析—株式会社ヤクルト本社
・乳酸菌摂取と疾病罹患・生理機能低下との関連解析—株式会社ヤクルト本社
皮膚の健康調査
・アトピー性皮膚炎に関する皮膚の健康調査:お肌チェック—東北大学アトピー性皮膚炎研究ネットワーク(TAReN)
眼科疾患の関連研究
・モバイルヘルスアプリを活用したドライアイの発症や重症化機序に関連する遺伝子多型の探索—順天堂大学
睡眠と関連研究
・全ゲノム情報を活用した表現型ワイド相関研究及びその結果に基づいた表現型の多様性に関する研究—武田薬品工業株式会社
人口知能(AI)と関連した研究
がんを早期に発見できる人工知能(AI)の開発に関する研究—国立がん研究センター
バイオバンク試料を用いた共同研究
バイオバンクに格納されている試料を利活用した共同研究が行われています。主な共同研究の例は以下です。
・東北メディカル・メガバンク提供細胞を用いたiPS細胞研究(ToMMo-CiRAコホート)—京都大学iPS細胞研究所
・B型肝炎に関する統合的臨床ゲノムデータベースの構築を目指す研究—国立国際医療センター
・母乳成分と児の発達/発育に関する疫学研究—株式会社明治、明治ホールディングス株式会社
・児の発育・発達と関連する母乳由来の機能性成分の探索—江崎グリコ株式会社
・東北地方一般住民における非結核性抗酸菌抗体陽性率の推移とCOVID19の関連についての解析—国立感染症研究所、慶應義塾大学
・潜在性ウイルスの抗体保有率などを把握する共同研究—Moderna Inc.
共同研究・産学連携の詳細についてはこちら
関連論文、関連プレスリリース
論文
コホート事業関連の主な論文はこちら
プレスリリース
コホート関連
2023.08.22 1歳時のスクリーンタイムが2歳・4歳時点の発達特性の一部と関連
2022.05.23 ウェアラブルデバイスによる1年間の生活習慣データを取得する共同研究を開始 ~客観的トラッキングデータとコホートデータの組み合わせが未来型医療を牽引する~
2022.02.09 新型コロナウイルスワクチンによる抗体産生 〜東北メディカル・メガバンク機構コホート調査約3千人の調査より〜
2021.09.15 配偶者同士は生活も一緒、病気も一緒? 日本・オランダにおけるバイオバンクを利用した国際共同研究
2021.09.10 産後うつは産後1年経過しても出現する ~長期的なスクリーニングやケアの体制構築の必要性~
2021.08.04 モバイルヘルスアプリを用いた ドライアイに関する共同研究を開始 ~モバイルヘルスアプリとゲノムの融合で拓く ドライアイのP4 Medicineの実現~
2021.07.14 より長くそして手厚く住民の健康を見守り健康長寿社会をつくる 長期健康調査 詳細三次調査を開始
2021.05.27 36.6 万人規模の大規模ゲノムコホートを構築 個別化医療・個別化予防の早期実現に向けて国内6研究機関が連携
2021.05.26 アレルギー疾患に関わる遺伝子変異の新発見 – 震災復興プロジェクト住民コホート研究からの新知見-
2020.03.13 日本疫学会で三世代コホート調査の研究成果を発表しました
2018.12.05 詳細調査で明らかになる震災被害の長期的な影響‐家屋被害の大きかった人で、心理的苦痛、平均歩数、骨密度への影響が継続‐
2018.02.08 震災による家屋被害が生活習慣・検査データに影響を与えている可能性
2018.02.01 東北メディカル・メガバンク計画の三世代コホート調査
2016.01.23 震災後の宮城の健康状態 ~地域住民コホート調査の第三次報告~
バイオバンク・データシェアリング関連
2024.04.10 5万人分の経時的な試料・情報分譲の開始~時間による変化を調べることで、より広く充実した研究が可能に~
2024.04.01 15万人規模の健康調査情報、ゲノム・オミックス情報を研究計画立案に活用 TMMプレリサーチの運用を開始
2022.09.29 腸内細菌叢315人分のデータ分譲開始 ~試行的産業利用を通じて腸内細菌叢データ利活用推進の呼び水に~
2020.08.21 三世代コホート調査全体の試料・情報分譲の開始 ~世界最大規模の家系付きコホートが全国の研究者へ利用可能に~
2020.06.23 新たに約5万4千人分のSNPアレイ情報が試料・情報分譲対象に追加されました
2020.06.01 1万7千人分の詳細検査情報のデータ分譲を開始
2020.01.10 日本初、家系情報付き大規模コホート調査結果を分譲開始 ‐三世代7人家族158組の情報の分譲‐
2019.10.28 バイオバンク横断検索システム運用開始~国内のバイオバンク7機関で保有する65万検体の試料・20万件の情報が一括で検索可能に~
2019.08.08 6万7千人分の生体試料・情報の分譲を開始 ‐食事などの生活情報から検査値まで幅広い情報を網羅‐
2019.04.11 東北メディカル・メガバンク計画参加者の血液細胞からのiPS細胞樹立に成功 ~15万人分の保存血液細胞がiPS細胞研究に利用できる可能性~
2019.03.28 東北メディカル・メガバンク計画 岩手県8,300人分の生体試料・生理機能検査情報などの分譲を開始 -脳卒中・心臓病などの予防法や治療法の開発に貢献可能-
2019.02.08 健康長寿社会実現への貢献を目指した「きぼう」利用に係る 東北メディカル・メガバンク機構との連携協定の締結について
ゲノム・オミックス解析関連
2022.09.26 長鎖リードシークエンサーによるゲノム構造多型の解析・公開 長い情報を読んで初めてわかるゲノムの正体
2022.06.30 日本人5万人分の全ゲノム情報の解析を完了~3.8万人分の全ゲノムリファレンスパネルを公開~
2021.12.08 ゲノムリファレンスパネルとゲノム解析情報を拡充~日本人全ゲノムリファレンスパネルが14KJPNに 構造多型データベースなど公開~
2021.11.16 臍帯血DNAメチル化情報の公開 ~胎児期の情報を集積した世界初の試み~
2021.09.30 ゲノム・オミックス解析情報の公開データベース jMorpを拡充~「ショーケースGWAS」と薬剤感受性情報の初搭載とメタボローム解析情報の大幅拡大~
2021.07.07 10万人の全ゲノム解読を目指した、 統合解析コンソーシアムの設立 ~産官学の連携による大規模解析の実現へ~
2021.01.29 お口の中には健康のヒントがいっぱい ~日本初の大規模口腔マイクロバイオーム解析~
2020.10.05 ゲノム・オミックス解析情報の公開データベース jMorpを大幅拡充 ~日本人の主な変異を網羅、メタボローム解析情報も~
2020.07.27 最大規模7,609人の日本人全ゲノム配列を集めて解析したバリアント頻度パネルGEM Japan Whole Genome Aggregationの公開
2019.09.02 ゲノム・オミックス解析情報の公開データベース jMorpの収載データを大幅拡充~メタボローム解析データを1万5千人に拡大し縦断解析データも格納、 全ゲノム解析データが4千7百人に~
2019.02.25 「日本人基準ゲノム配列」初版JG1の公開~日本人のゲノム解析がこれまでよりも精密かつ正確に~
すべてのプレスリリースについては こちら をご覧ください。