研究の紹介

大規模前向きコホート調査と複合バイオバンクで挑む個別化医療と個別化予防

東北メディカル・メガバンク(TMM)計画は、個別化医療・個別化予防の実現を目的としたプロジェクトです。15万人規模の前向きコホート調査を行い、調査で提供された試料・情報をもとにバイオバンクを構築しています。またコホート調査で得られた試料から各種ゲノム・オミックス解析を行い、ゲノムコホートを形成しています。最新の解析基盤を駆使することにより、すべての試料、コホート等で得られた情報にゲノム、オミックス情報等を付帯して分譲するという新しい形態の複合バイオバンクとして統合され、さらにこれらを試料・情報分譲として全国の研究者の方々の利用に供しています。

大規模前向きコホート調査は、複数の遺伝要因と環境要因が影響して引き起こす疾患(多因子疾患)の病因解明や予防法・治療法の確立に必須です。大規模前向きコホート調査では、病気になる前のデータを蓄積しているため、遺伝要因に加えて、病気になる前の生活習慣・環境要因と疾患発症の因果関係の解明、そしてさらに、本格的な発症前の微小な兆候の探索や、病気にならなかった人とのデータ比較、症状の進行を追うことなどが可能になります。
大規模ゲノムコホートは、次世代医療の中心である個別化医療・個別化予防実現の鍵となります。

当計画では地域住民を対象とした地域住民コホート調査と、妊婦さんを起点としその家族を対象とした三世代コホート調査を実施しています。

 

当計画のバイオバンクは、各種健康情報とゲノム等の解析情報を複合させた複合バイオバンク(Integrated Biobank)です。コホート調査参加者の生体試料のほか、解析済みのゲノム・オミックス情報などのデータを蓄積し収集した試料・情報は積極的な分譲を進めています。

 

当計画では、コホート調査で得られた生体試料からゲノム・オミックス解析を行い、データとして複合バイオバンクに蓄積しています。蓄積したデータは分譲もしくは、統計情報等にして個人特定を防いだうえでインターネット上に公開するなどして、全国の研究者と共有しています。

 

当計画では、個別化医療、個別化予防の実現に欠かせない疾病発症リスク予測の開発に取り組んでいます。またこういったリスク予測を一人ひとりに伝え、活用していく社会に向けた先導モデルの作成を目指しています。