ゲノム・オミックス解析

東北メディカル・メガバンク計画(TMM計画)では、コホート調査参加者のDNAをもとに数万人規模の全ゲノム解析を行い、リファレンスパネルを構築しています。また、その情報をもとに社会実装された日本人向けのSNPアレイ(ジャポニカアレイ®)の開発、アレイ解析も実施しています。
ゲノム以外に生体分子の網羅的な解析もしています。ToMMoでは特にメタボローム、メタゲノム情報に重点を置いて解析を実施しており、データ公開も実施しています。
こうした解析情報を研究者の皆さまに研究利用いただけるようデータの公開、および分譲を行っています。その他、各種解析支援も実施しています。

なお利活用ではなく、解析のデザインや状況について興味のある方はこちらをご覧ください。

 

公開データベース(jMorp)

TMM計画のコホート調査にご参加頂いた方のゲノム・オミックスデータを解析し、その統計データベースである jMorp(Japanese Multi Omics Reference Panel; 日本人多層オミックス参照パネル)を構築し、ウェブ上で公開しています。
jMorpはデータ間の関連性が捉えやすくなるよう、異なる階層間でのデータを俯瞰できる構造になっています。トップページから遺伝子シンボル、dbSNP ID(rsID)、代謝物名などのキーワードを入力することで、収録されている全データに対して網羅的に検索することができます。また、ゲノム関連データのゲノムブラウザ形式での閲覧や、データセットを一覧で見ることも可能です。詳細はjMorpユーザーガイドや以下の活用ガイド動画をご覧ください。

すぐに利用する↓

関連論文一覧はこちら

ゲノム

数万人の全ゲノム解析に基づく日本人のリファレンスパネルや、基準ゲノム配列を構築し、jMorpで公開しています。短鎖全ゲノム解析による常染色体、X染色体およびミトコンドリアの一塩基バリアント(Single Nucleotide Variant:SNV)、INDEL(挿入(insertion, IN)・欠失(deletion, DEL))、ならびに構造多型の位置情報とアレル頻度情報、CNV(Copy Number Variations)の位置情報と頻度情報、HLA頻度情報、長鎖全ゲノム解析による構造多型頻度情報などが公開されています。検索結果からSNV等の頻度情報を取得でき、米国ブロード研究所が公開するデータベース「gnomAD」を利用して日本人と他の民族集団との比較が簡単に行えます。また、変異情報をタンパク質立体構造上にマッピングするツールなども利用可能です。
他にも、日本人男性3名のde-novoアセンブリから構築された「日本人基準ゲノム配列」JG2.1を公開しています。JG2.1をもとに日本人のゲノム解析が行われることで、解析の精度が向上することが見込まれます。

Genome browser画面表示例(ex. ALDH2)

・利用ガイド(遺伝子/SNV/INDEL/アレル頻度比較ツール/タンパク質構造マッピング/ゲノムブラウザ
・データセット詳細(JG2.1.0/54KJPN/54KJPN-HLA/JCNVv1/ 8.3KJPN-SV/JSV1) 

トランスクリプトーム

約550人の全血試料をRNA-seq解析して得られた遺伝子発現量情報を公開しています。また、日本人男性3人の長鎖トランスクリプトーム情報(ToMMo ISO-Seq)も公開しています。

メタボローム

約6万人分の血漿中のメタボローム解析結果から各代謝物の濃度分布情報などをまとめ、jMorpで公開しています。NMRまたはMSによって解析された代謝物の濃度分布、性別・年齢による分布、食後経過時間による差異、代謝物間の相関、経時変化(検査間隔約3-4年)、妊娠中及び産後の分布の差、MGWAS解析結果などの大規模・高精度・多彩なデータを見ることができます。

代謝物濃度や性別・年齢分布、相関の画面表示例(ex. Glycine[TCN000033] )

妊娠中及び産後の分布の画面表示例(ex. Glycine[TCN000033] )

経時変化の画面表示例(ex. Glycine[TCN000033] )

・利用ガイド(代謝物/代謝物相関ネットワーク
データセット詳細

フェノーム

ToMMoでは、歯垢・唾液・舌苔・便サンプルのメタゲノム解析を進めています。このうち唾液、歯垢および便サンプルのマイクロバイオーム解析データを公開しています。また、薬物感受性に関連する酵素における遺伝的多型と酵素活性のデータも公開しています。

・利用ガイド(PGx/メタゲノム
・データセット詳細(PGx/メタゲノム(16S-v4, 16S-v3/v4, shotgun))

GWAS

GWAS 解析結果を格納するレポジトリをjMorpに実装しています。GWAS 解析研究の概要(論文タイトル・要旨・解析手法)および 要約統計量ファイルが含まれています。また、コホート調査で収集されたさまざまな健康関連項目に対してGWASを実施した結果をショーケースGWASとして公開しています。一覧はこちら

Manhattan plot画面表示例(ex. TGA000002 > Sunburn)

利用ガイド

その他
メチローム

岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構(IMM)による解析情報をもとに、遺伝子領域上で検出されたメチル化サイトの情報を公開しています(IMM 3cell analysis)。約100人×3種類の血液細胞(CD4+T細胞、単球、好中球)のDNAメチル化情報と遺伝子発現情報・アレル頻度情報をまとめたものです。
このほか、臍帯血のDNAメチル化情報が公開されています。

・利用ガイド(メチル化情報パネル/遺伝子発現パネル
・データセット詳細(whole blood transcriptome/IMM 3cell analysis/ToMMo ISO-Seq/IMM cord blood

その他の利用可能なデータ

日本人500人分の血漿サンプルのプロテオーム解析結果がjMorpで公開されています。データセット詳細はこちら ダウンロードはこちら

日本人の家系を用いて300ハプロイドから算出された連鎖不平衡地図データやToMMoが開発したジャポニカアレイNEOのマーカーリストなどを公開しています。ダウンロードはこちら

WGSに関する情報(FASTQの塩基数、平均深度)及びその他の情報(SNPアレイ解析情報、メタボローム解析情報)の有無について検索可能な50Kレポジトリ(WGS解析検体のサマリー)こちらから閲覧可能です。

約500検体のマッピング結果から、一塩基ごとの平均深度および深度の分散を算出し、それぞれの領域がどのくらいの深度で解析されたかを示すデータを公開しています。ダウンロードはこちら

連鎖不平衡地図(ToMMo_LD_map_192v1)を公開しました 
jMorpのゲノム情報を拡張~INDEL頻度情報などを新たに公開~

先頭に戻る

ゲノム解析支援

ToMMoのGWASセンターではジェノタイピング、インピュテーション、GWASなどのゲノム解析支援を行っています。GWASセンターについてはこちら

ジャポニカアレイ®

ジャポニカアレイ®とは、ToMMoが構築した「全ゲノムリファレンスパネル」をもとに社会実装した日本人ゲノム解析ツールで、設計の概念は論文としてまとめられています。ToMMoではジャポニカアレイ®を利用したジェノタイピングサービス、インピュテーションサービスなどのゲノム解析支援を行っています。疾患関連因子として確かな研究報告があるSNPをさまざまな文献やデータベースをもとに選別し、3.5KJPNv2を用いて日本人にアレル頻度が一定以上で存在するSNPに絞り込みを行い、日本人特有の疾患関連SNPを搭載しています。

なお、ジャポニカアレイ®NEOのマーカーリストがjMorpに掲載されており、こちらからご覧いただけます。また、個々の遺伝子やSNPの搭載状況は、jMorp内のGenome Variationで検索し、Annotations列あるいはJPA列でご確認いただけます。

日本人ゲノム解析ツール「ジャポニカアレイ®」

ジャポニカアレイ®NEOを開発 ~より広くさまざまな人々にゲノム解析が適用可能に~【プレスリリース】

日本人に最適化されたSNPアレイ「ジャポニカアレイ®」を設計〜約66万個のSNP情報を搭載した個別化予防・医療研究を加速する解析ツール〜【プレスリリース】

ジェノタイピングの実施

GWASセンターにて、共同研究によるジャポニカアレイ®NEOを用いたジェノタイピングを実施しています。詳細はこちらへお問い合わせください。

インピュテーションサービス

ToMMoでは学術研究機関(営利企業をのぞく)に所属する研究者の方を対象としたジャポニカアレイ®データに対するインピュテーションサービスを行っています。
詳細な受入・提供データの仕様、料金、結果提供までの期間や解析方法などはこちらをご覧ください。

ジャポニカアレイ®を利用した研究例

新規の日本人アルツハイマー病関連遺伝子座位群を発見【プレスリリース】

ジャポニカアレイ®と2KJPNを用いた成果が発表されました(小児ステロイド感受性ネフローゼ症候群の疾患感受性遺伝子のHLAハプロタイプを同定)

ToMMoが協力した体外診断用医薬品の開発についての論文が掲載されました

GWAS解析

GWAS解析については こちら をご覧ください。

先頭に戻る

分譲利用

jMorpなどインターネット上で公開している統計情報の他に、さらなる詳細な情報(全ゲノム解析情報等)や生体試料などを入手したい研究者の皆さまに向けて、委員会の審査を経ることで利用いただける試料・情報分譲を行っています。分譲対象の試料・情報はコホート調査によって得られた血液・尿検査情報や、アンケートの調査票由来の罹患歴、生活習慣情報などの健康調査情報と紐づけられており、各情報を組み合わせた分譲も可能です。

分譲利用の申請方法、研究例など詳しくは試料・情報分譲 もしくはバイオバンク試料・情報関連ウェブサイトをご覧ください。

関連解析(統合データベースdbTMM)

コホート情報、ゲノム以外の解析情報との関連解析のために統合データベースdbTMMを構築しています。詳しくはこちらをご覧ください。

先頭に戻る

設備・機器利用

文部科学省が進める先端研究基盤共用促進事業のもと、高磁場好感度核磁気共鳴(NMR)装置や各種質量分析装置(LC-MS, GC-MS)および次世代シークエンサーなどのToMMoの研究設備および機器をご利用いただくことが可能です。

利用可能機器の詳細や利用方法、トレーニングコースについてはこちらをご覧ください。

先頭に戻る