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2018.04.12

東北メディカル・メガバンク機構、疾病罹患・生理機能低下と腸内細菌叢との関連性を明らかにする共同研究を開始【プレスリリース】

国立大学法人東北大学東北メディカル・メガバンク機構(機構長 山本 雅之、以下、ToMMo)と株式会社ヤクルト本社(社長 根岸 孝成、以下、ヤクルト)は、腸内細菌叢*1を標的とした新規の疾病予防法や治療法の創出、予防医学に基づく乳酸菌飲料および発酵乳の生理的意義を明らかにすることを目的とした共同研究を開始しましたのでお知らせします。

本研究では、東北メディカル・メガバンク計画*2が実施するコホート調査*3の参加者を対象に、腸内細菌叢の解析調査を2018年4月1日から開始しました。対象者は、ToMMo地域支援白石センターにおける地域住民コホート調査または三世代コホート調査の詳細二次調査*4の成人参加者約2,500人であり、同意を得られれば、腸内細菌叢解析のための便サンプルの提供を依頼します。腸内細菌叢の解析結果を東北メディカル・メガバンク計画がもつ疾病罹患・生理機能情報、生活習慣情報と合わせて解析することにより、腸内細菌叢と種々の健康指標の関連を調べ、腸内細菌叢を標的とした新規の疾患予防法や治療法の創出、予防医学に基づく乳酸菌摂取の生理的意義を明らかにすることを目標としています。さらに、遺伝情報やオミックス情報*5などを含めた総合的な解析を行うことにより、東北メディカル・メガバンク計画が目指す「個別化予防」の基盤構築にも貢献します。

この共同研究は2020年度末までの期間を予定しており、得られたデータは、東北メディカル・メガバンク計画のバイオバンク*6に格納され、データ整理完了後、一定の期間を経て、全国の研究者に分譲され、個別化医療・個別化予防の研究に有効活用される予定です。

 

【用語説明】
*1.腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)
ヒトの腸内にはおよそ1000種類、約100兆個もの細菌が存在し、複雑な微生物生態系が形成されています。これは、腸内細菌叢と呼ばれ、ヒトの健康に大きな影響を及ぼしていることが知られています。近年、腸内菌叢研究は世界的にも急速に進展し、腸内菌叢の宿主の健康に対する影響は、腸管の疾病にとどまらず、がんなどの生活習慣病や、精神面にも及ぶことが明らかにされつつあります。

*2.東北メディカル・メガバンク計画
東北メディカル・メガバンク計画は、東日本大震災からの復興と、個別化予防・医療の実現を目指しています。東北大学東北メディカル・メガバンク機構と岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構を実施機関として、東日本大震災被災地の医療の創造的復興および被災者の健康増進に役立てるために、2013年より合計15万人規模の地域住民コホート調査および三世代コホート調査等を実施して、試料・情報を収集したバイオバンクを整備しています。

*3.コホート調査
ある特定の人々の集団を一定期間にわたって追跡し、生活習慣などの環境要因・遺伝的要因などと疾病発症の関係を解明するための調査のこと。

*4.詳細二次調査
2016年度までにコホート調査に参加した方にお願いする、2回目にあたる健康調査で、最初に調査に参加いただいた時点から健康状態がどう変化したかを把握・分析します。調査内容は生活習慣や食習慣に関するアンケート、血液・尿検査、生理学的検査などです。参加者は2回目の調査から加わる新しい検査等により、さらに詳しく健康状態を知ることができます。本調査はすでに2017年6月1日(木)から開始しています。

*5.オミックス情報
病気に対するリスクを反映して血液中や尿中の量が変化するような物質を、疾患バイオマーカーと呼びます。この様な物質を測定することにより、病気の予防や早期発見に役立てることができます。コホート調査の参加者から頂いた血液や尿を試料として、タンパク質や低分子化合物などの網羅的測定を行うことにより、有用な疾患バイオマーカーが見つかることが期待されます。このような網羅的測定、およびその比較解析は「オミックス解析」と呼ばれ、先進的な個別化予防・個別化医療の実現とともに、病気の原因解明や治療法開発のためにも大変重要とされています。

*6.バイオバンク
解析研究に用いることを目的とし、試料・情報を収集して長期間保存し、解析を行う研究機関に分譲するシステムのこと。

プレスリリース詳細(PDF)

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