総合的な力が生み出す最先端研究とゲノム医療の未来に向かって~機構設立の節目に~(2024年2月)
北陸で発生した令和6年能登半島地震、また羽田空港で発生した航空機衝突炎上事故で亡くなられた方々のご冥福をお祈りしますとともに、被災された方々へ心よりお見舞いを申し上げます。私たち東北メディカル・メガバンク機構は、東日本大震災からの復興を目的に設立された組織です。新年より痛ましい被害が続きましたが、私たちも当時の痛み、悲しみを思い起こし、皆様の復興までの道のりを一緒に歩んで参ります。
思い返すと、2012年2月1日に当機構は設立されました。機構設立の節目の今日、当機構が喫緊で取り組むべき5つの重点項目を申し上げたいと思います。一つ目は、バイオバンク利活用・産学連携推進センターの活動をさらに進め、また、統合データベースdbTMM利用支援事業者登録制度など新しい制度を拡充して、ますます利活用しやすいバイオバンクになることです。国内だけではなく海外での利活用も推進してまいります。さらにバイオバンク運営者として利用者のお手本になるような最先端の研究を行い、当バイオバンクを世界の最先端バイオバンクにしてまいります。二つ目は、10万人の全ゲノム解析を完了させ、残る5万人のコホート参加者の解析も視野に入れ、ゲノムを活用した研究基盤の充実を図ります。この基盤を活用して、疾患のリスク診断、早期診断に繋がるゲノム医療の社会実装を進めていきます。三つ目は、東北大学未来型医療創成センター(INGEM)を通じた学内10部局の連携を強化し、リアルワールドデータの拡充とクリニカルバイオバンクの発展、さらに、クライオ電子顕微鏡を活用した最先端研究に取り組みます。INGEM研究リソースを私たち以外の方々にも活用して頂けるように、研究基盤の共有を推進して参ります。四つ目に、当バイオバンクのより効率的な運営に取り組んでいきます。そして、五つ目は国内でもバイオバンクが多く設置されるようになり必須となった、倫理法令からコホート研究、解析までバイオバンクについて総合的に深い理解を持つ人材の育成に本格的に乗り出すことです。
他にも多くの課題はありますが、最先端の研究を継続、発展させていくためには一つの突出した力ではなく総合的な力を結集させることが必要です。これからのますますの発展に向かって、皆さまの温かいご支援・ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。
2024年2月1日
東北大学 東北メディカル・メガバンク機構
山本雅之
- 「産学連携の推進による個別化ヘルスケア基盤の構築に向けて」(2023年2月)
- 「個別化ヘルスケア実現の社会実装に向けて」(2022年2月)
- 「復興・創生、そして未来型(個別化)ヘルスケア実現に向けて~東日本大震災から10年の節目に~」(2021年3月)
- 「東北大学東北メディカル・メガバンク機構の創立10年目に入るにあたって」(2021年2月)
- 「東日本大震災から9年のこの日に」(2020年3月)
- 「東北メディカル・メガバンク機構 節目の年を迎えて」(2020年2月)
- 「東日本大震災から8年を機に」(2019年3月)
- 「8年目を迎えた東北メディカル・メガバンク機構」(2019年2月)
- 「東日本大震災から七周年を迎えて」(2018年3月)
- 「東北メディカル・メガバンク機構の6周年を迎えるにあたって」(2018年2月)
- 「東日本大震災から6年を経た今日に」(2017年3月)
- 「東北メディカル・メガバンク機構5周年の節目に」(2017年2月)
- 「東日本大震災から5年目にあたって」(2016年3月)
- 「4周年を迎えた東北メディカル・メガバンク機構」(2016年2月)
- 「東日本大震災より4年が過ぎて」(2015年3月)
- 「東日本大震災から3年を迎えて」(2014年3月)
- 「東北メディカル・メガバンク機構設立から2周年を迎えて」(2014年2月)
- 「東日本大震災から2年を迎えて」(2013年3月)
- 「東北メディカル・メガバンク事業のスタートにあたって」(2012年10月)
- 「東北メディカル・メガバンク機構発足にあたって」(2012年2月)