東日本大震災から8年を機に(2019年3月)

2011年3月11日に起きた東日本大震災から8年の月日が流れました。あの時、震災の影響で卒業式ができなかった小学校6年生たちも、今年は成人式を迎えました。私は、東日本大震災の時に、東北大学の医学部長・医学系研究科長を勤めていました。東北大学も学位記授与式を執り行うことは出来ず、当時の医学部長として非常に残念だったことが胸をよぎります。セレモニーはなくとも卒業生たちは力強く旅立っていきました。

この東北の地が大震災から力強く立ち上がるために、私たちは復興事業として東北メディカル・メガバンク計画に取り組み、コホート調査という多くの方々の健康を長期にわたって見守り続ける仕組みを継続し、さらに、複合バイオバンクという未来型医療の礎となる仕組みを維持、発展させて、世界的な拠点へと成長させるべく、震災以来走り続けてきました。

この計画のもとで2013年に開始したコホート調査・長期健康調査には、岩手県での実施分と合わせて、15万人を超える方々のご参加を得ています。2017年度からは、参加いただいた方々の健康状態が数年の経過を経てどのように変化しているかを調査する詳細二次調査もスタートしました。また、コホート調査にご参加いただいている皆さまにご案内している「脳とこころの健康調査」への参加者は、2019年1月に目標としてきた1万人に到達しました。

コホート調査で得られた試料や情報は日本のライフサイエンス研究の基盤となり、全国の研究者の未来型医療の試みを支えています。また、コホート調査により、長期にわたる震災の影響を正しく判断するように試みています。

当機構は、復興事業として、また、未来型医療の世界的拠点として、更に発展することを目指し、そして被災者の方々に寄り添い続け、今後も教職員が一丸となって目標達成を目指して前に進んでいく所存です。

2019年3月11日 東北大学 東北メディカル・メガバンク機構長 山本 雅之