東北メディカル・メガバンク機構 節目の年を迎えて(2020年2月)
2020年2月1日、当機構の設立から丸8年が経過しました。平成 23 年度(2011年度)から始まった東北メディカル・メガバンク計画は、次の4月からの令和2年度(2020年度)に当初設定された最終年度を迎えます。大規模コホート調査と健常者のバイオバンク設立という、日本では初めての試みもひとつの区切りを迎えます。なお、今後の計画の在り方については現在有識者の間で検討されており、本年中に指針が示されることとなっております。引き続き創造的復興プロジェクトとして、さらには、未来型医療を牽引するプロジェクトとしてさまざまな成果を挙げることができるよう、皆さまのお力添えをいただきながら、一層の努力をしてまいります。
さて、平成から令和へと時代が変わったこの一年、当機構ではさまざまな成果を残すことが出来ました。
例えば、昨年2月には「日本人基準ゲノム配列」初版JG1を発表し、この開発に中心的に携わった高山順助教は先日「日本医療研究開発大賞 AMED理事長賞」を受賞しました。
8月には地域住民コホート調査で得られた約6万7千人分の生体試料・情報を分譲、9月にはオープンなデータシェアリングの核であるデータベース日本人多層オミックス参照パネル(jMorp)の収載データを大幅に拡充しました。12月には、初めて三世代コホート調査で得られた家系付き情報の分譲を開始し、数量・種類ともにシェアリング対象を充実させています。
また、コストを抑えつつ、高速、高精度にゲノム解析が可能な疾患志向のSNPアレイ「ジャポニカアレイ®NEO」を発表しました。
さらに、他の組織との連携を強化した一年でもありました。昨年2月には宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携協定を締結し、4月には京都大学iPS細胞研究所と共同で成果発表、10月には国内のバイオバンク7機関を横断する検索システムの運用を開始しました。コホート調査に追加するアドオン調査には、さまざまな企業や研究者が参加し、調査情報の幅をますます広げています。今後も組織同士をつなぎ、さらに連携を深めていきます。
冒頭でも申し上げたとおり、これからの一年は集大成となる重要な年です。後世にまで残る日本医療の基盤となるよう、そして何よりも調査に参加されている方あっての成果であることを胸に、ワンチームとなって事業をやり遂げる所存です。
今後とも当機構へのご指導ご鞭撻をいただけますよう、心よりお願い申し上げます。
2020年2月1日
東北大学 東北メディカル・メガバンク機構
山本雅之
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