産学連携の推進による個別化ヘルスケア基盤の構築に向けて(2023年2月)

2012年2月に東北大学東北メディカル・メガバンク機構が発足し、今年で12年目を迎えます。これまでの成果として、2013年にスタートしたコホート調査には約15万人を超える参加者を得て、継続して健康調査を実施中であり、430万本を超える試料をバイオバンクに保管しています。さらに、5万人の全ゲノム解析を行い、メタボローム解析などと合わせて、世界に誇る情報が当機構のスーパーコンピュータに格納されています。これもひとえに、当機構をご支援くださいました地域住民の皆さま、自治体、各関係機関、そして当機構のスタッフのおかげと心から感謝を申し上げます。

さて、2023年には三つの大きな重点項目を掲げたいと思います。
一つ目はバイオバンク利活用・産学連携推進センターを中心として、複合バイオバンクに保管されている貴重な試料・情報を、分譲や共同研究を通して、全国の学術機関及び企業の研究者に利活用して頂く試みを更に推進します。
二つ目は本学に設けられた「世界トップレベル研究拠点」であり、当機構も参画している未来型医療創成センター(INGEM)とのコラボレーションを推進します。東北大学病院と当機構による臨床研究を推進し、次世代医療の実現に向けた取組を強化していきます。
三つ目は、10万人全ゲノム解読完了に向けた取組を進捗させることです。解析された全ゲノム情報と当機構にある各種の健康情報とあわせた統合的な解析をさらに推進し、次世代医療の基盤となるエビデンスの構築に取り組んでいきます。

この大きな目標の基盤は、前向きコホート調査に立脚した複合バイオバンクにあります。現在進行中の詳細三次調査と追加リクルートを計画に沿った形で遂行し、解析情報を拡充して、我が国のゲノム医療研究の中核としての役割を果たしていく所存です。さらに、ゲノム情報が医療に結びつくように、遺伝情報回付事業についても注力して参ります。

これからも、皆さまの温かいご支援・ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。

2023年2月1日
東北大学 東北メディカル・メガバンク機構
山本雅之