個別化ヘルスケア実現の社会実装に向けて(2022年2月)

2012年2月1日に東北大学東北メディカル・メガバンク機構が設立され、今年で11年目を迎えます。これまで、当機構をご支援くださいました地域住民の皆さま、自治体、各関係機関、そして当機構のスタッフに心から感謝を申し上げます。

この10年を振り返りますと、発足当時は東北メディカル・メガバンク構想に対して、懐疑的な意見もございました。しかしながら、現在の立ち位置を改めて確認すると日本で初めて本格的で現代的な複合バイオバンクができたと確信しております。私は、バイオバンクは、社会のインフラストラクチャーであると考えています。実際に、東北メディカル・メガバンク計画は、産業発展の基盤になると同時に、学術の進歩にも大きく寄与しています。また、本事業は社会に対する大学の貢献の在り方の一面を実証するものでもあり、本事業を東北大学で実施している意義も大いにあると思います。

この10年では、最初にコホート調査に15万人の方に参加いただきました。そして、バイオバンクを立ち上げ、生体試料およびゲノム情報を含めた生体情報と健康情報を網羅する複合バイオバンクへと発展させました。私たちは今後も、コホート調査の追跡調査や試料解析情報を更新しながら、我が国のゲノム医療研究の中核として役割を果たしていく所存です。

昨年4月(令和3年度)から第3段階がスタートし、個別化ヘルスケア実現に向けて研究基盤のますますの充実に取組んでいるところです。これからは、国内の学術研究機関や企業の研究所に、収集・保管した試料や情報の分譲することを加速してまいります。そして、アドオン調査や共同研究を積極的に推進し、重点対象疾患に対する研究成果の創出や個別化ヘルスケアの社会実装のために産業界との連携にも力を入れてまいります。

これからも皆様には、以前と変わらぬご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2022年2月1日
東北大学 東北メディカル・メガバンク機構
山本雅之