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2021.12.28

東日本大震災後に一過性に増加した透析導入に関する論文がJournal of Nephrology誌に掲載されました

東日本大震災後、ToMMoでは被災地における医療人材の不足に対し循環型医師支援事業を行ってきました。気仙沼市立病院には、当初総合診療支援を行いましたが、病院のニーズに合わせて2021年10月より腎臓内科医・透析専門医による週1−2回の支援を行っております。なお、気仙沼市における透析施設は気仙沼市立病院だけです。

地域医療支援部門 阿部 倫明准教授らは、約10年間の支援を行いつつ2007~2020年の気仙沼市立病院透析室の新規の外来透析患者の動向を調査し、Journal of Nephrology誌に報告しました。

気仙沼市における透析導入数は震災後5年目くらいから有意に増加し、10年後にほぼ震災前の導入数のレベルに戻りました。透析導入の原因疾患として、糖尿病性腎症は震災前後とも多く、高血圧関連腎症は震災後に一過性に増加していました。震災後の一過性の透析導入数の増加には高血圧の関与が疑われました。
しかしながら慢性腎臓病の進行には様々な生活習慣や疾患・持病が関与しており、末期腎臓病への進展には非常に長い時間を要します。そのため大震災による透析導入への影響の報告はほとんどなく、今回がはじめての報告です。大震災によるストレスや震災後疾患が末期腎不全を増加させるという仮説の証明には今後さらに検証が必要であると考えられます。

書誌情報

タイトル:A massive natural disaster, the Great East Japan Earthquake, and the incidence of dialysis due to end-stage kidney disease
著者名:Michiaki Abe, Tetsuya Akaishi, Koto Ishizawa, Hirohisa Shinano, Hiroshi Ohtomo, Kazuhiko Orikasa, Shin Takayama, Atsuko Masaura, Mariko Miyazaki, Takaaki Abe, Kenichi Yokota & Tadashi Ishii
掲載誌:Journal of Nephrology
掲載日:12 October 2021
DOI:10.1007/s40620-021-01140-9