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2025.09.10

食物摂取頻度調査票(FFQ)におけるカロテノイド摂取量の妥当性の検証に関する論文が掲載

食物摂取頻度調査票(FFQ)におけるカロテノイド摂取量の妥当性の検証に関する論文がJournal of Epidemiology誌に掲載されました。

野菜・果物の摂取量と健康状態の関連は、多くの疫学研究で示されてきました。野菜・果物が主な摂取源であるカロテノイドの作用が注目されており、その作用の解明のためには、疫学研究においてカロテノイド摂取量をより正確に測定する必要があります。
東北メディカル・メガバンク(TMM)計画では、コホート調査で食物摂取頻度調査票(Food Frequency Questionnaire: FFQ)を用いています(以下、TMM-FFQという)。FFQは、摂取した食品の重さを正確に秤量する方法ではないため、ゴールドスタンダードと同等の食事評価をなし得るかという妥当性を検証する必要があります。ゴールドスタンダードとして、秤量食事記録を用いてカロテノイド摂取量の妥当性を有することは先行研究ですでに確認されていますが、血中濃度を用いた妥当性の検討は行われていませんでした。そこで、血清カロテノイド濃度をゴールドスタンダードとして、TMM-FFQから計算されたカロテノイド摂取量の妥当性を検討しました。
宮城県内に居住する男性88名、女性124名を対象に、血清カロテノイド濃度とTMM-FFQから計算したカロテノイド摂取量との相関についてSpearmanの順位相関係数を算出したところ、男性では、α-カロテン0.33、β-カロテン0.42、β-クリプトキサンチン0.50、リコピン−0.09でした。女性では、α-カロテン0.11、β-カロテン0.23、β-クリプトキサンチン0.21、リコピン0.28でした。
以上より、TMM-FFQから算出されるカロテノイド摂取量に関し、男性におけるα-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチンは、疫学研究で対象者を摂取量が少ない人から多い人まで順番に並べる目的において必要なある程度の妥当性があることが明らかになりました。この結果は、今後、TMM計画のコホート調査においてカロテノイド摂取量と健康状態との関連を分析する際の重要な基礎資料になると考えられます。

書誌情報

タイトル:Validity of a self-administered food frequency questionnaire for assessing carotenoid intakes using serum biomarkers in Japan: the Tohoku Medical Megabank Project
著者名:Keiko Murakami, Yudai Yonezawa, Taku Obara, Takahiro Yamashita, Shigenori Suzuki, Junko Ishihara, Ribeka Takachi, Shiori Sugawara, Misato Aizawa, Ippei Takahashi, Mami Ishikuro, Aoi Noda, Hisaaki Kudo, Kazuki Kumada, Masayuki Yamamoto,1 Shinichi Kuriyama
掲載誌:Journal of Epidemiology
掲載日:2025年9月6日
DOI:10.2188/jea.JE20250074