お知らせ
- 2025.06.04
食物摂取頻度調査票(FFQ)における栄養素摂取量の妥当性・再現性の検証に関する論文が掲載
食物摂取頻度調査票(FFQ)における栄養素摂取量の妥当性・再現性の検証に関する論文がAsia Pacific Journal of Clinical Nutrition誌に掲載されました。
東北メディカル・メガバンク(TMM)計画では、コホート調査で食物摂取頻度調査票(Food Frequency Questionnaire: FFQ)を用いています。FFQは、摂取した食品の重さを正確に秤量する方法ではないため、妥当性(FFQがゴールドスタンダードとしての秤量食事記録と同等の食事評価をなし得るか)、再現性(同じ対象者に同じFFQによる調査を繰り返し行った場合に、摂取量がどの程度一致するかという度合い)の2つの指標により精度を検証する必要があります。TMM計画では、国立がん研究センターにより開発され妥当性・再現性が確認されたFFQをもとに、独自の修正(各食品に対して「体質的に食べられない/飲めない」という選択肢を加えた)を施したFFQ(以下、TMM-FFQという)を用いています。一般成人において食品群別摂取量の妥当性・再現性を有することは先行研究ですでに確認されていますが、栄養素の妥当性・再現性の検証は行われていませんでした。そのため、宮城県内に居住する男性89名、女性124名を対象に、栄養素等摂取量の妥当性と再現性を検討しました。
妥当性に関しては、TMM-FFQから推計した栄養素摂取量を12日間秤量食事記録から計算した栄養素摂取量と比較してSpearmanの順位相関係数を算出したところ、相関係数は多くの栄養素で0.40以上であり、エネルギー・48栄養素全体での中央値は、男性で0.52、女性で0.48でした。再現性に関しては、2回のTMM-FFQからの栄養素摂取量の間の相関について級内相関係数を算出したところ、相関係数は多くの栄養素で0.50以上であり、エネルギー・48栄養素全体での中央値は、男性で0.51、女性で0.55でした。
栄養素の摂取量に関し、TMM-FFQから算出される殆どの栄養素摂取量は疫学研究で個人を順位づけする目的において必要なある程度の妥当性・再現性があることが明らかになりました。この結果は、今後、TMM計画のコホート調査において栄養素と健康状態との関連を分析する際の重要な基礎資料になると考えられます。
書誌情報
タイトル:Validity of single vs. multiple FFQs in ranking nutrient intake among Japanese adults: the Tohoku Medical Megabank Study
著者名:Ogino Mako, Takachi Ribeka, Ishihara Junko, Sugawara Shiori, Hoshina Yuchie, Kito Kumiko, Nakadate Misako, Maruya Sachiko, Suzuki Aoi, Matsuno Tomoka, Obara Taku, Ishikuro Mami, Ueno Fumihiko, Noda Aoi, Aizawa Misato, Takahashi Ippei, Yonezawa Yudai, Yamashita Takahiro, Suzuki Shigenori, Murakami Keiko, Kuriyama Shinichi
掲載誌:Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition
掲載日:2025年6月
DOI:10.6133/apjcn.202506_34(3).0019