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2018.04.09

東日本大震災被災地域における学際研究により 津波避難訓練の有効性を実証 科学的根拠に基づく防災への取組みに向けて【プレスリリース】

東北大学災害科学国際研究所の富田博秋教授、東北メディカル・メガバンク機構の中谷直樹准教授 、大学院医学系研究科の辻一郎教授らの研究グループは、宮城県七ヶ浜町に居住する20歳以上の成人を対象にアンケート調査を実施し、2,314人分の回答から、東日本大震災より前に実施された防災の取組みと、震災直後の実際の避難行動の関係を分析することにより、津波避難訓練が実際の避難行動を個々人に促進した(オッズ比1.99倍)ことを実証しました。
本成果は、津波避難訓練が避難行動に及ぼす有効性を世界に先駆けて実証したものであり、エビデンスに基づく防災への取組みに向けて一歩を踏み出した成果といえます。今後は、避難訓練の頻度や、震災時の携帯品、障害をもつ家族への援助等の要因を検討し、より有効な避難訓練のあり方を検討していくことが必要です。

今回の研究は、津波避難訓練が避難行動に及ぼす有効性を世界に先駆けて実証したことで、エビデンスに基づく防災への取組みに向けて一歩を踏み出した成果といえます。今後は、避難訓練の頻度や、震災時の携帯品、障害をもつ家族への援助等の要因を検討し、より有効な避難訓練のあり方を検討していくことが必要です。

本研究成果は論文としてInternational Journal of Disaster Risk Reduction誌にオンライン公開されました。

※: 多変量ロジスティック回帰分析でオッズ比を算出しました。オッズ比とは、2つの群間である事象の起こりやすさを比較する際に示される統計学的な尺度です。津波避難訓練への参加経験が「ない」群に比べて「ある」群での避難行動の起こりやすさが高い程、オッズ比は大きくなり、両群間で避難行動の起こりやすさが同じである場合、オッズ比は1となります。

【論文名】
Effect of tsunami drill experience on evacuation behavior after the onset of the Great East Japan Earthquake
掲載誌:International Journal of Disaster Risk Reduction誌2018年6月第28巻 206-213頁
著者:Naoki Nakaya, Harumi Nemoto, Carine Yi, Ayako Sato, Kotomi Shingu, Tomoka Shoji, Shosuke Sato, Naho Tsuchiya, Tomohiro Nakamura, Akira Narita, Mana Kogure, Yumi Sugawara, Zhiqian Yu, Nicole Gunawansa, Shinichi Kuriyama, Osamu Murao, Takeshi Sato, Fumihiko Imamura, Ichiro Tsuji, Atsushi Hozawa, Hiroaki Tomita
https://doi.org/10.1016/j.ijdrr.2018.02.037

プレスリリース詳細(PDF)

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