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2017.09.19

「配偶者のがん既往が心理的苦痛に与える影響」についての論文がTohoku Journal of Experimental Medicine誌 に掲載されました

東北大学東北メディカル・メガバンク機構予防医学・疫学部門の 中谷直樹准教授 は、同部門の 辻一郎部門長寳澤篤教授と共同で、大崎コホート2006に関する論文、「配偶者のがん既往が心理的苦痛に与える影響」を発表しました。

23,766人を対象に、配偶者ががんにかかったことがあるかどうかと心理的苦痛リスクの関連を調査したところ、男性では、妻ががんになったことがあり、さらに痛みを有している場合に、心理的苦痛のリスクが高いことがわかりました。
この成果はThe Tohoku Journal of Experimental Medicine誌に2017年9月13日付でオンライン出版されました。

研究内容

著者らはこれまで、患者の配偶者に焦点を当てた研究を実施し、がん診断が患者だけではなくその家族の精神面に影響を及ぼすことを報告してきました。

今回の研究対象は、宮城県⼤崎市に住む40歳以上の⽅であり、配偶者のペア(14,705ペア)は、⼤崎市から提供された続柄と住所情報から特定しました。
調査票の記⼊にご協⼒いただいた23,766⼈(男性11,690人、女性12,076人)のうち1,374⼈(男性581⼈、⼥性793⼈)は、配偶者ががんになったことがありました。

研究より、男性については、妻ががんにかかったことがないが痛みを有していた場合と比べて、妻ががんになったことがあり、さらに痛みを有していた場合では、心理的苦痛のリスクが高くなることがわかりました。これらの男性に対する心理的苦痛に焦点を当てたスクリーニングはリスクを軽減できる可能性があります。

■論文
Psychological distress among individuals whose partners have cancer
Naoki Nakaya, Toshimasa Sone, Kumi Nakaya, Yasutake Tomata, Atsushi Hozawa, Ichiro Tsuji
The Tohoku Journal of Experimental Medicine
Vol. 243 (2017) No. 1 September p. 27-33
Published online September 13, 2017
PMID: 28904254
DOI: 10.1620/tjem.243.27
論文名邦訳:配偶者のがん既往が心理的苦痛に与える影響

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東北メディカル・メガバンク機構 予防医学・疫学部門 個別化予防・疫学分野 寳澤研究室