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2016.08.10

「東日本大震災後における配偶者の慢性疾患治療と心理的苦痛リスク」についての論文がTohoku Journal of Experimental Medicine誌 に掲載されました

東北大学東北メディカル・メガバンク機構予防医学・疫学部門の 中谷直樹准教授 は、同部門の 中村智洋助教 及び 土屋菜歩助教成田暁助教辻一郎部門長寳澤篤教授富田博秋教授 と共同で、七ヶ浜健康増進プロジェクト*1に関する論文、「配偶者の慢性疾患治療と心理的苦痛リスク」を発表しました。本研究は、東日本大震災の沿岸部被災地である宮城県七ヶ浜町に住む20歳以上のご夫妻のうち1,246組(2,492人)を解析対象としています。
この成果はThe Tohoku Journal of Experimental Medicine誌に2016年8月10日付でオンライン出版されました。
同研究グループは以前から、七ヶ浜健康増進プロジェクトで複数の研究成果を発表しており、今回は慢性疾患治療者の配偶者側に焦点を当てています。

研究内容

【目的】慢性疾患は患者のみならず配偶者の心理苦痛を増大することが報告されています。心理的苦痛を有する者がさらに甚大なストレッサーを受けると、心理的苦痛がさらに増す可能性があります。本研究では、東日本大震災の被災地において、配偶者の慢性疾患治療と心理的苦痛リスクの関連を検討しました。

【方法】東北大学は七ヶ浜町との共同事業「七ヶ浜健康増進プロジェクト」で、町内(特定の5地区)で家屋の被害に遭われた方々に、平成24年10月から世帯ごとに調査票を配布し、調査を行いました。うち今回の解析対象は、20歳以上で、K6*2(心理的苦痛を評価)関連の質問を回答した、同居中で年齢差15歳以内のご夫婦(またはパートナー)で、同居家族にその他の成人がいない、1,246組(2,492人)です。
慢性疾患は、がん、脳卒中、心筋梗塞・狭心症を解析対象とし、心理的苦痛の有無はK6*2(心理的苦痛を評価)により評価しました。

【結果及び結論】配偶者が慢性疾患を有する者の心理的苦痛リスクを、有さない者と比べたところ、男女全体で解析した場合は、心理的苦痛リスクは1.3(0.95-1.8)であり、有意な関連を示しませんでした。しかし、男女別での解析を行ったところ、女性に限った場合、有意な関連が示されました(女性;オッズ比1.6, P=0.02; 男性; オッズ比1.0, P=0.92)。
この結果から、東日本大震災後、特に、女性において、配偶者の慢性疾患治療により心理的苦痛リスクが増大していることが示唆されました。
以上より、沿岸部被災地で、慢性疾患患者のみならず、配偶者に対しても医療者が心理状態を定期的にモニターすることの重要性が示唆されます。

■論文
Partners’ Ongoing Treatment for Chronic Disease and the Risk of Psychological Distress after the Great East Japan Earthquake
Vol. 239 (2016) No. 4 August p. 307-314
Published online August 10, 2016
DOI: http://doi.org/10.1620/tjem.239.307
論文名邦訳:配偶者の慢性疾患治療と心理的苦痛リスク

*1 七ヶ浜健康増進プロジェクト: 東日本大震災以降、七ヶ浜町と東北大学の共同事業として行う、健康づくりへの様々な取組。2011年5月以来、仮設住宅での茶話会と健康相談を重ねると共に、被災者対象の健康調査も行っている。
*2 K6スコア: 心理ストレスを含む精神的な問題の程度を測る尺度として、国際的に広く用いられているもの。米国のKesslerらにより開発され、6問の質問紙調査からなる。うつ病・不安障害などの精神疾患をスクリーニングすることなどを目的に、一般住民を対象とした調査で広く利用されている。

関連リンク

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東北メディカル・メガバンク機構 予防医学・疫学部門 個別化予防・疫学分野 寳澤研究室

 

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