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2021.09.08

NTTドコモとの共同研究「マタニティログ調査」による妊婦尿の網羅的メタボローム解析から機械学習により在胎週数予測に成功した論文がScientific Reportsに掲載

菅原 準一教授が主導する、妊婦の日々のライフログや多層オミックス情報から妊娠期の多彩な変動パターンを俯瞰的に捉え、周産期疾患の早期発症予測を目指す研究(マタニティログ調査)の成果として、妊婦尿を用いたメタボローム解析による在胎週数予測を行った論文が、2021年9月7日Scientific Reports誌に掲載されました。

当機構は、NTTドコモとの共同研究を2014年11月19日より推進し、東北大学病院における三世代コホート参加者のうち302名の妊婦さんにご協力いただき、ウェアラブル機器などから得られる活動量、体重、体温、家庭血圧や睡眠、便の性状、子宮収縮、胎動などの情報をスマートフォンを用いて連続的に収集しました。同時に妊娠中2回、産後1回の採血、歯垢を採取し、また妊婦健診ごとに採尿を行い、これらから全ゲノム解析、トランスクリプトーム解析、メタボローム解析、メタゲノム解析を行っております。(参考記事:NTTドコモとの共同研究「マタニティログ調査」のデザイン論文がBMJ Open誌に掲載(2019.02.14)

本研究では、妊婦健診ごとの尿を用い、網羅的メタボローム解析を行い、機械学習の手法を適用することで、合併症のない正常妊娠におけるメタボロームプロファイリングから、在胎週数を予測するアルゴリズムを構築することに成功しました。さらに、その後に妊娠高血圧症候群を発症した症例に対して、予測アルゴリズムを適用したところ、実際の在胎週数よりメタボロームプロファイリングの週数が進んでいることを見出しました。
このことは、妊娠高血圧症候群発症症例では、妊婦尿のエイジングが進んでいることを示唆し、今まで報告されてきた病的胎盤のエイジングなどと関連すると推察されます。

本研究は、当機構の基礎解析技術とNTTドコモがこれまで培ったAI(人工知能)技術が有機的に結びついた成果であり、妊婦に負担をかけず収集された尿を用いた在胎週数予測に初めて成功したもので、今後の研究により、尿を用いた早期の疾患発症予測方法の開発が期待されています。

書誌情報

タイトル:Machine learning approaches to predict gestational age in normal and complicated pregnancies via urinary metabolomics analysis
著者名:Takafumi Yamauchi, Daisuke Ochi, Naomi Matsukawa, Daisuke Saigusa, Mami Ishikuro, Taku Obara, Yoshiki Tsunemoto, Satsuki Kumatani, Riu Yamashita, Osamu Tanabe, Naoko Minegishi, Seizo Koshiba, Hirohito Metoki, Shinichi Kuriyama, Nobuo Yaegashi, Masayuki Yamamoto, Masao Nagasaki, Satoshi Hiyama, and Junichi Sugawara
掲載誌:Scientific Reports
掲載日:2021年9月7日
doi:10.1038/s41598-021-97342-z

 

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