2022(令和4)年度の成果
- 成果と活動
- これまでの成果の一覧
- 2022(令和4)年度の成果
※2023年4月1日時点の情報です。
1. 長期健康調査
詳細三次調査を継続し2022年度は12,651名の参加者を得ました。また、スマートフォンアプリマイToMMoの登録を推進し、2023年3月末時点で利用ユーザが約4,000名となりました。マイToMMoは健康調査結果の閲覧機能に加え、情報入力機能等を追加しました。「脳と心の健康調査」2回目も順調であり2022年度は約1,800名の撮像を実施しました。
2022年11月から12月にかけて宮城県内7か所で長期健康調査事業報告会を開催し、総計約1,000人の方々にご参加いただきました。
2023年1月より一部の方を対象に三世代コホート調査への追加のリクルートを開始しています。
産学連携による、ウェアラブルデバイスを用いたアドオンコホート調査を開始しました。
2022年6月より遺伝性乳がん卵巣がんとリンチ症候群を対象疾患とした大規模な遺伝情報回付を実施しました。
2. バイオバンクおよび解析基盤
2023年3月末時点で保有試料数は延べ297,800人分4,417,700本となりました。これに伴い全自動試料保存システムを1台追加し計4台の構成となりました。バイオバンク設備詳細
ゲノム解析では、2022年6月に5万人分の全ゲノム解析の完了と3.8KJPNを発表しました。短鎖リードシークエンサーによる解析のほかに、長鎖リードシークエンサーによるゲノム構造多型の解析と参照データの作成にも取り組みました。
ゲノム以外の解析では、2022年9月にメタボロームとメタゲノムの解析結果をjMorpに追加しました。追加内容の詳細(メタボローム・メタゲノム)
解析基盤としてスーパーコンピュータの性能や利便性の向上を図ったり、jMorpのユーザーインターフェース変更を実施したりしました。
3. 試料・情報の利活用と産学連携
複合バイオバンクの試料・情報・ノウハウの利活用を推進するため、バイオバンク利活用・産学連携推進センターを2022年4月に設置しました。
2022年度の試料・情報の利活用状況は、分譲26件(累計103件)、共同研究49件(累計294件)で、2023年3月末に分譲申請手続き中のものは15件でした。分譲審査で承認後、2022年度に提供された生体試料の内訳は、血清352本、血漿342本、尿30本、DNA 8本、単核球13本でした。なお2022年4月より、単核球および母乳を新たに分譲対象として追加しました。
戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)や官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)のもと、主に産業界向けに腸内細菌叢データの分譲や試行的産業利用の推進を行いました。
腸内細菌叢315人分のデータ分譲開始 ~試行的産業利用を通じて腸内細菌叢データ利活用推進の呼び水に~
その他、分譲対象として、服薬、介護保険情報、医科レセプト情報、メタボローム情報を追加または拡充しました。またMRI解析情報を4.3Kから12Kに拡大しました。
産学連携としては、第一三共株式会社、武田薬品工業株式会社と株式会社MICINとウェアラブルデバイスを実装した共同研究の開始、モデルナ・ジャパンと包括協議に関する覚書を締結するなどしました。
4. 2022年度に発表した主な論文
2021年度に引き続きコホート調査から多くの論文を発表することができました。コホート調査のバリエーション豊かな項目が、多くの成果につながっていることがわかる結果です。特に三世代コホート調査を活用した、妊産婦や子どもに関する成果が目立ちました。
また機構設立初期から力を入れてきた産学連携研究の論文も2本発表しました。
論文例
コホート調査から(代表的なもの)
妊娠中血中代謝物による産後うつ症状の予測
妊婦の朝食欠食と妊娠高血圧症候群
遺伝情報回付事業関連(医薬品の反応性、遺伝性乳がん卵巣がん)
産学連携から
日本における妊娠前・妊娠中の食事パターンとSGA(Small for Gestational Age)(カゴメ株式会社)
対象者の背景要因に基づく診断カットオフにヒートマップを使う方法の提唱((株)豊田中央研究所)
ゲノム解析から(代表的なもの)
デザイン論文
5. その他の成果
その他、下記のような取組を実施しました。
・株式会社東芝らとの量子セキュリティ技術を活用した実証研究
・国際シンポジウムPan-cohort studies – The future of population health
また、AMED ゲノム医療実現バイオバンク利活用プログラム「ゲノム医療・研究推進社会に向けた試料・情報の利活用とPPI施策に関する研究開発」を開始しました。ウェブサイト