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2022.09.20

三世代コホート調査をもとにした「日本における妊娠前・妊娠中の食事パターンとSGA(Small for Gestational Age)」に関する論文がNutrition Journal誌に掲載されました

東北メディカル・メガバンク計画三世代コホート調査(BirThree Cohort)をもとにした、「日本における妊娠前・妊娠中の食事パターンとSGA(Small for Gestational Age)」に関する論文がNutrition Journal誌に掲載されました。本研究はカゴメ株式会社との共同研究により行われました。
SGAとは新生児が在胎期間に応じた体格基準よりも小さく生まれることを指します。SGAは新生児の死亡リスクだけでなく、小児期における発育阻害や成人期におけるメタボリックシンドロームの発生リスクなど個人の健康状態に長期的な影響を及ぼすものであり、世界的に重要な公衆衛生問題の1つになっています。特に、日本では若い女性の痩せ志向による低栄養が新生児の体重減少に拍車をかけていると言われています。妊婦の食事指導を行う上で適切な栄養摂取に関する情報は重要ですが、適切な食習慣に関する情報もまた重要になります。しかしながら、これまでSGAに関連する食習慣に関しては明らかになってはいませんでした。そこで、今回の論文では三世代コホート調査をもとに、妊娠前および妊娠中の食事パターンとSGAとの関連を調べました。食習慣の抽出は、着目疾患に関連する食事パターンを抽出するのに秀でた縮小ランク回帰分析(Reduced Rank Regression:RRR)や部分的最小二乗回帰分析(Partial Least Squares regression:PLS)、および着目集団の現状の食事パターンを抽出するのに秀でた主成分分析(Principal Component Analysis:PCA)の3つの方法を用いました。
妊娠前、妊娠中いずれにおいても、RRRやPLSで抽出された食事パターン(穀類や果実類の摂取量が多く、アルコール類や嗜好飲料類の摂取量が少ない)はSGAリスクの低下と関連することが明らかになりました。一方、PCAで抽出された食事パターンはSGAリスクとの関連が認められませんでした。
調査結果から、RRRやPLSによって明らかにされた今回の食事パターンは、今後SGAを予防するための理想的な食習慣の指標として有用である可能性があると考えられます。

書類情報

タイトル: Dietary patterns before and during pregnancy and small for gestational age in Japan: a prospective birth cohort study
著者名: Takahiro Yamashita, Taku Obara, Yudai Yonezawa, Ippei Takahashi, Mami Ishikuro,Keiko Murakami, Fumihiko Ueno, Aoi Noda, Tomomi Onuma, Noriyuki Iwama, Hirotaka Hamada, Junichi Sugawara, Shigenori Suzuki, Hiroyuki Suganuma, Masatoshi Saito, Nobuo Yaegashi, and Shinichi Kuriyama
掲載誌: Nutrition Journal
掲載日:16 September 2022
DOI:10.1186/s12937-022-00808-7