お知らせ
- 2025.04.30
全ゲノムシークエンスデータを用いたヒトゲノムホモ接合連続領域の解析に関する論文が掲載
東北メディカル・メガバンク計画における日本人集団の全ゲノムシークエンスデータを用いて、様々な疾患のリスクとも関連するとされる、ヒトゲノムのROH(runs of homozygosity; ホモ接合連続領域)を詳細に解析した成果が、4月3日付でJournal of Human Genetics誌に掲載されました。
ヒトゲノムには、ホモ接合体(ゲノム上のある点で、両親から受け継いだ型が同じである状態)が連続している領域が多く存在しており、この領域をROHと呼びます。ROHが心血管疾患やがん、精神疾患など、いわゆる”common disease”(ありふれた疾患)の発症リスクと関連していることは、以前から指摘されており、ROHの詳細を明らかにすることは、遺伝学的観点だけでなく、公衆衛生学的観点からも重要な課題と言えます。
これまでROHの研究には、SNPアレイと呼ばれる技術が主に用いられており、解像度に限界があったため、比較的長いROHしか検出できませんでしたが、本研究では、世界に先駆けて、より解像度の高い解析が可能な全ゲノムシークエンスデータを用いることで、これまで検出が困難であった短いROHも検出できることが示されました。また、三世代コホートの家系情報を活用し、親子間の型の不一致をエラーとして除外することで、長いROHについても、SNPアレイより高い検出力が期待できることも示されました。
本研究により、ヒトゲノムにおけるROHの詳細が明らかになり、ヒト集団の歴史や様々な疾患リスクとの関連についての研究がさらに進展することが期待されます。
書誌情報
タイトル: Profiling of runs of homozygosity from whole-genome sequence data in Japanese biobank
著者名: Aye Ko Ko Minn, Motomichi Matsuzaki, Akira Narita, Takamitsu Funayama, Yurii Kotsar, Satoshi Makino, Jun Takayama; Tohoku Medical Megabank Project Study Group; Shinichi Kuriyama, Gen Tamiya
掲載誌: Journal of Human Genetics
掲載日: 2025年4月3日
DOI: 10.1038/s10038-025-01331-3