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2025.04.28

夫婦間のがん検診受診の一致性:東北メディカル・メガバンク計画横断調査に関する論文が掲載

東北メディカル・メガバンク計画のデータを利用した夫婦間のがん検診受診の一致性に関する横断調査の論文が国際科学誌Psycho-Oncology誌に掲載されました。

著者らのチームはこれまで夫婦間の生活習慣・疾患有病が類似していることを国際共同研究で報告しました(Nakaya N, Xie T, et al. Atherosclerosis 2021)。さらに、疾病予防行動の1つであるがん検診受診行動も夫婦間で類似するかどうかについて分析しました。
参加者が過去1年間に受けた大腸がん、胃がん、肺がんの検診についてタブレットPCを使用したアンケート調査で収集し、本研究では2つの分析を実施しました。1つは夫ががん検診を受けたか否かを曝露、妻のがん検診受診をアウトカムとし、もう1つは妻が受診したか否かを曝露、夫のがん検診受診をアウトカムとした分析を行いました。重要な交絡因子を調整した上で、多重ロジスティック回帰分析を実施しました。
結果として、夫の大腸がん検診未受診群に比し、がん検診受診群で妻のがん検診受診オッズ比(95%信頼区間、p値)は2.7(2.2-3.3、p < 0.0001)であり、有意な正の関連が示されました。同様に、妻の大腸がん検診受診を曝露、夫のがん検診受診をアウトカムとした場合、オッズ比は2.6(2.2-3.2、p < 0.0001)でした。これらの関連は胃がん、肺がんの検診においても一貫して統計学的に有意な正の関連を示しました。

本研究の結果は、疾病予防行動の1つであるがん検診受診行動も夫婦間で類似していました。したがって、夫婦ともにがん検診を受診していない場合、一方の配偶者ががん検診を受けることが、もう一方の配偶者のがん検診受診にプラスの影響を与える可能性があります。夫婦ペアを対象とした新たな予防介入戦略を開発することで、個人のみを介入対象とした時と比較して、がん予防対策をさらに効果的に実施することができる可能性があります。

「東北大学2025年度オープンアクセス推進のためのAPC支援事業」の支援を受けOpen Accessとなっています。

書籍情報

タイトル:Concordance of cancer screening attendance among spouse couples: A cross-sectional survey of the Tohoku Medical Megabank Project
著者名:Naoki Nakaya, Kumi Nakaya, Toshimasa Sone, Mana Kogure, Rieko Hatanaka, Ippei Chiba, Sayuri Tokioka, Masato Takase, Yoko Izum, Nobuo Fuse, Atsushi Hozawa, ToMMo Investigators
掲載誌:Psycho-Oncology
掲載日:2025年4月25日
DOI:10.1002/pon.70158