東北メディカル・メガバンク機構

お知らせ

記事一覧
全て
ニュース
イベント
成果
メディア
2018.02.20

開放隅角緑内障に関わる新たな7遺伝子領域を同定-1万5,000人の緑内障患者のゲノム解析から病因の解明へ-

理化学研究所(理研)統合生命医科学研究センターの久保充明副センター長、統計解析研究チームの鎌谷洋一郎チームリーダー、秋山雅人リサーチアソシエイト、東北大学大学院医学系研究科眼科学分野の志賀由己浩医師、中澤徹教授、西口康二准教授、岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構の佐々木真理機構長、佐藤衛生体情報解析部門副部門長、東北大学東北メディカル・メガバンク機構の布施昇男教授鈴木洋一客員教授の共同研究グループは、日本人の主な失明原因である開放隅角(ぐうかく)緑内障についてアジア最大のゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施し、発症に関わる7カ所の感受性遺伝子領域を同定しました。

緑内障は視神経が障害を受ける眼疾患で、日本人の失明原因の第一位となっています。日本人における緑内障の有病率は5.0%であり、その主な病型は開放隅角緑内障ですが、開放隅角緑内障患者の遺伝要因の大部分は解明されていませんでした。

今回、共同研究グループは、開放隅角緑内障の発症に関わる遺伝要因を明らかにするため、日本人の開放隅角緑内障患者3,980名と対照群18,815名を対象に、ヒトゲノム全体に分布する約600万個の一塩基多型(SNP)のGWASを行いました。さらに、開放隅角緑内障と強い関連が認められたSNPについて、独立した二つの日本人集団(患者:3,398名、対照群:17,570名)で再現性を検証しました。その結果、新たに7カ所の遺伝子領域(FNDC3B、ANKRD55-MAP3K1、LMX1B、LHPP、HMGA2、MEIS2、LOXL1)が発症に影響することが分かりました。また、これらの遺伝子領域について、他の人種(患者:8,357名、対照群:38,100名)における発症リスクへの影響を検証したところ、ニつのSNPがアジア系人種で、四つのSNPがヨーロッパ系人種でも発症に寄与していると考えられました。さらに、関連が示された遺伝子の特徴を明らかにするためパスウェイ解析を行ったところ、上皮成長因子受容体シグナルに関する遺伝子群が発症に影響している可能性を突き止めました。さらに、過去に開放隅角緑内障との関与が報告されている7形質について、遺伝学的相関の評価を行いました。その結果、開放隅角緑内障は2型糖尿病や心血管病と遺伝的背景を共有していることが明らかになりました。これは、生まれつき開放隅角緑内障になりやすい人が、これらの疾患になりやすいことを示しています。

本研究で使用したサンプルは、バイオバンク・ジャパン、東北大学眼科を中心とした緑内障学会遺伝子研究班、京都大学眼科、九州大学眼科、日本多施設共同コホート研究(JMICC Study)、多目的コホート研究(JPHC Study)、岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構および東北大学東北メディカル・メガバンク機構において収集されたものです。

これらの成果は今後、緑内障病因の解明や治療法の開発や予防医学研究に貢献すると期待できます。本研究は、英国の科学雑誌『Human Molecular Genetics』2018年2月14日オンライン版に掲載されました。

詳細(PDF)

論文

Genome-wide association study identifies seven novel susceptibility loci for primary open-angle glaucoma
掲載誌: Human Molecular Genetics
著者: Yukihiro Shiga, Masato Akiyama, Koji M Nishiguchi, Kota Sato, Nobuhiro Shimozawa, Atsushi Takahashi, Yukihide Momozawa, Makoto Hirata, Matsuda Koichi, Taiki Yamaji, Motoki Iwasaki, Shoichiro Tsugane, Isao Oze, Haruo Mikami, Mariko Naito, Kenji Wakai, Munemitsu Yoshikawa, Masahiro Miyake, Kenji Yamashiro, Japan Glaucoma Society Omics Group, Kenji Kashiwagi, Takeshi Iwata, Fumihiko Mabuchi, Mitsuko Takamoto, Mineo Ozaki, Kazuhide Kawase, Makoto Aihara, Makoto Araie, Tetsuya Yamamoto, Yoshiaki Kiuchi, Makoto Nakamura, Yasuhiro Ikeda Koh-Hei Sonoda, Tatsuro Ishibashi, Koji Nitta, Aiko Iwase, Shiroaki Shirato, Yoshitaka Oka, Mamoru Satoh, Makoto Sasaki, Nobuo Fuse, Yoichi Suzuki, Ching-Yu Cheng, Chiea Chuen Khor, Mani Baskaran, Shamira Perera, Tin Aung, Eranga N Vithana, Jessica N Cooke Bailey,Jae H Kang, Louis R Pasquale, Jonathan L Haines, NEIGHBORHOOD consortium, Janey L Wiggs, Kathryn P Burdon, Puya Gharahkhani, Alex W Hewitt, David A Mackey, Stuart MacGregor, Jamie E Craig, R Rand Allingham, Micheal Hauser, Adeyinka Ashaye, Donald L Budenz, Stephan Akafo, Susan EI Williams, Yoichiro Kamatani, Toru Nakazawa, Michiaki Kubo
Published: 14 February 2018
DOI:https://doi.org/10.1093/hmg/ddy053

関連リンク

緑内障の個別化医療への第一歩 – 緑内障の遺伝要因と臨床的特徴の関連を同定 -【プレスリリース】

東北メディカル・メガバンク機構

Copyright(C) Tohoku University Tohoku Medical Megabank Organization All Rights Reserved.