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2026.10.01

肥満症が胃噴門部腺がんを進展させる仕組みを発見 -PPAR-δが新たな胃がん予防・治療標的となる可能性-【プレスリリース】

発表のポイント

・ 肥満症が胃噴門部腺がんを進展させる機序として、腸内環境異常によるプログラム細胞死(フェロトーシス)の抑制が重要な役割を果たすことが、マウスを用いた研究で明らかになりました。

・ 脂質代謝関連因子であるPPAR-δを抑制すると、肥満症の増悪と腸内細菌叢異常が悪化しました。さらに酸化ストレス応答を担うタンパク質NRF2の活性化を介して胃がん細胞のフェロトーシス抑制タンパク質GPx4発現が増加し、フェロトーシスが抑制されました。

・ 肥満症に伴う腸内細菌叢やその代謝産物の変化が胃噴門部腺がんの進展に関与することが明らかとなり、生活習慣病予防戦略による腸内環境改善が胃噴門部腺がんの新たな予防法につながる可能性があります。

概要

食生活の欧米化に伴い、胃噴門部腺がんは増加しています。近年、肥満症と胃噴門部腺がんとの関連性が注目されていますが、両者をつなぐ機序は明らかではありません。

東北大学大学院医学系研究科消化器病態学分野・ヘルススパン研究センターの正宗 淳教授、消化器病態学分野の宇野 要講師、田邊 瑞樹大学院生(研究当時)、東北メディカル・メガバンク機構分子血液学分野の清水 律子教授、生体分子解析分野の小柴 生造教授、地域口腔健康科学分野の玉原 亨講師らの研究グループは、マウスを用いた研究により、脂質代謝関連因子PPAR-δ抑制による肥満症の増悪が腸内細菌叢やその代謝産物を変化させ、NRF2が活性化することで胃噴門部腺がん細胞においてフェロトーシスを抑制し、胃がん進展を促進することを発見しました。本研究成果は、生活習慣病の予防戦略による腸内環境の改善が、胃噴門部腺がんの新たな予防・治療法につながる可能性を示すものです。

本研究成果は2026年9月28日に米国の学術誌Cellular and Molecular Gastroenterology and Hepatology(CMGH誌)に掲載されました。

図1. 肥満症にともなう腸内環境異常が胃噴門部腺がんを進展させる 高脂肪食摂取と脂質代謝関連因子PPAR-δ拮抗薬GSK3787併用は腸内細菌叢異常や腸管粘膜傷害を惹起し、異常な腸内細菌叢およびその代謝産物を循環血液中に漏洩させます。胃がん細胞に GPx4発現を誘導することで鉄依存性細胞死(フェロトーシス)を抑制し、胃噴門部腺がんを進展させる可能性があります。

プレスリリース本文

論文情報

タイトル:Ferroptosis regulates metabolic inflammation-driven tumorigenesis in obesity-related gastric cancer
著者:田邊瑞樹、宇野要*、玉原亨、浅野直喜、小柴生造、草野啓介、小笠原光矢、皆瀨ゆみ子、齊藤真弘、小池智幸、清水律子、正宗淳
*責任著者:東北大学医学系研究科・消化器病態学分野、消化器医療イノベーション推進寄附講座、講師 宇野要
掲載誌:Cellular and Molecular Gastroenterology and Hepatology(CMGH)
DOI: 10.1016/j.jcmgh.2026.101900