お知らせ
微生物群集をデザインして植物を強くする ―機械学習でトマト生育を促進する微生物群集を設計・実証―【プレスリリース】
発表のポイント
・ AI技術の一つである機械学習を用いて、植物の生育を促す微生物コミュニティを「設計」する新しい手法を開発。この手法で設計した微生物コミュニティが、実験室の高温条件下および屋外の農地環境でトマトの生育を向上させることを実証
・ マルチオミクス解析により、植物の高温耐性に関連する遺伝子や微生物を見出し、作用の仕組みの一端を解明
・ 近年深刻化する高温などの環境条件による農作物の生育・収量低下を抑える新たな微生物資材の開発に期待
概要
植物の生育を促す有用な微生物は数多く見つかっていますが、複数の微生物をどのように組み合わせれば高い効果が得られるかを効率的に予測・設計することは困難でした。
青木裕一 東北大学講師、山﨑真一 同研究員(現、理化学研究所 研究員)、杉山暁史 京都大学教授、中安大 同研究員、白須賢 理化学研究所グループディレクター、増田幸子 同研究員らの研究グループは、微生物の組み合わせに加えて、微生物の遺伝子情報、植物由来成分、栽培温度などの情報を機械学習で統合し、植物の生育を促す微生物コミュニティを予測・設計する手法を開発しました(図1)。設計した微生物コミュニティは、実験室での高温条件下および屋外の農地環境(圃場)でトマトの生育を向上させました。さらにマルチオミクス解析により、その効果に関連する植物遺伝子や微生物を見出し、作用の仕組みの一端を明らかにしました。本成果は、有用微生物を「探す」だけでなく、データに基づいて効果的な微生物コミュニティを「設計する」新たなアプローチを示しました。環境変動に強い農業への応用が期待されます。
本成果は2026年8月26日にThe ISME Journal誌に掲載されました。

図1. 本研究の概要。トマト根由来の微生物をさまざまに組み合わせ、植物由来成分や栽培温度を変えて生育データを取得した。それを用いて機械学習モデルを構築し、高い生育促進効果が期待される微生物コミュニティを設計した。設計した微生物コミュニティの効果を実験室および圃場試験で検証するとともに、その作用機構の一端をマルチオミクス解析により明らかにした。
論文情報
タイトル:Model-guided design of defined microbial community reveals interactions underpinning plant growth and stress tolerance
著者:Shinichi Yamazak, Masaru Nakayasu#, Keiko Kanai, Rie Mizuno, Rumi Kaida, Sachiko Masuda, Arisa Shibata, Ken Shirasu, Atsushi J. Nagano, Yoshiharu Fujii, Akifumi Sugiyama, Yuichi Aoki
掲載誌:The ISME Journal
DOI: 10.1093/ismejo/wrag219