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2023.02.22

母親の産後ボンディング障害と児の発達特性に関する論文がArchives of Women’s Mental Health誌に掲載

予防医学・疫学部門の村上 慶子講師らが執筆した母親の産後ボンディング障害と児の発達特性に関する論文がArchives of Women’s Mental Health誌に掲載されました。
母親のわが子に対する情緒的絆(ボンディング)の形成力の低下や欠如がみられる状態は、ボンディング障害と言われています。ボンディング障害は、母児関係や児の健康に影響する可能性が指摘されているものの、長期的に児の発達との関連を検討した研究は限られています。そこで、三世代コホート調査の自記式調査票データを用いて、母親の産後ボンディング障害と未就学児の発達特性の関連を検討しました。

赤ちゃんへの気持ち質問票(MIBS-J)を産後1か月時に母親に回答してもらい、総得点30点中5点以上をボンディング障害ありとしました。日本語版 Ages and Stages Questionnaire 第 3版(ASQ-3)※※を用いて児が2歳時と3.5歳時の発達を評価してもらいました。その結果、産後1か月時点でボンディング障害を有する母親の割合は、14.9%でした。産後ボンディング障害は、2歳時点・3.5歳時点のいずれの発達特性とも関連していました。

産後1か月時は医療関係者が母親と接する機会が多いため、その時期にボンディング障害をスクリーニングし介入につなげることが、児の発達特性に有益である可能性が本研究から示唆されました。

赤ちゃんへの気持ち質問票(MIBS-J):子どもへ抱く気持ちについて調査する質問票であり、得点が高いほど子どもへの否定的な感情が強い。

※※Ages and Stages Questionnaire 第 3版(ASQ-3):米国で開発された乳幼児の発達評価ツール。親などの養育者が記入することで簡便に児の発達の状況を把握することができる。

書誌情報

タイトル:Maternal postnatal bonding disorder and developmental delays in children: the Tohoku Medical Megabank Project Birth and Three-Generation Cohort Study
著者名:Keiko Murakami, Aoi Noda, Mami Ishikuro, Taku Obara, Fumihiko Ueno, Tomomi Onuma1, Fumiko Matsuzaki, Saya Kikuchi, Natsuko Kobayashi, Hirotaka Hamada, Noriyuki Iwama, Hirohito Metoki, Masahiro Kikuya1,5, Masatoshi Saito, Junichi Sugawara, Hiroaki Tomita, Nobuo Yaegashi, Shinichi Kuriyama
掲載誌:Archives of Women’s Mental Health
公開日:2023年2月21日
DOI: 10.1007/s00737-023-01298-0