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2021.05.11

肥満度と大腸がんリスクとの関連:アジア人初のゲノム疫学研究からの成果【プレスリリース】

研究成果のポイント

• メンデルのランダム化解析という、ゲノム情報を用いる研究手法により、肥満度の指標であるBMIと大腸がんリスクとの関連を調べました。
• 日本ゲノム疫学研究コンソーシアム(J-CGE)の日本人一般集団約36,000人のBMIとゲノム情報、および、本コンソーシアムの中で利用可能なデータと国内の公開データを合わせた大腸がん約7,500症例と対照37,000例のゲノム情報を分析しました。
• その結果、遺伝的に予測されるBMIが増加するにつれて、大腸がんリスクが増加するという関連を、アジア人で初めて明らかにしました。

概要

国立がん研究センター、横浜市立大学、岩手医科大学、東北大学、名古屋大学、名古屋市立大学、愛知県がんセンター、筑波大学などの研究者で構成される研究グループは、日本ゲノム疫学研究コンソーシアム(J-CGE:Japanese Consortium of Genetic Epidemiology studies)を構築し、ゲノム情報を用いたメンデルのランダム化解析により、肥満度を表す指標であるBMI(body mass index:体格指数)と大腸がんリスクとの関連をアジア人で分析しました。
その結果、遺伝的に予測されるBMIが1単位増加すると、大腸がんのリスクが7%増加することが示唆されました。本研究成果は、アジア人におけるBMIと大腸がんリスクとの関連を、メンデルのランダム化解析により検討した初めての報告であり、がん専門誌「Cancer Science」4月号に掲載されました。

メンデルのランダム化解析の結果
一塩基多型ごとに、横軸にBMIに対する効果量(関連の強さ)、縦軸に大腸がんに対する効果量(関連の強さ)をプロットした図です。青色および水色の実線の傾きは、68または654の一塩基多型のBMIに対する効果量と大腸がんに対する効果量の比を統合した値に一致し、BMIの大腸がんリスクに対する関連の指標であるオッズ比に換算できます。青色および水色のボックス内には、換算したBMI 1単位増加あたりの大腸がんに対するオッズ比および、95%信頼区間を表記しています。

発表論文

雑誌名: Cancer Science
タイトル: Body mass index and colorectal cancer risk: A Mendelian randomization study
著者: 鈴木詩織、後藤温、中杤昌弘、成田暁、山地太樹、澤田典絵、片桐諒子、岩上将夫、羽入田明子、八谷剛史、須藤洋一、尾瀬功、小栁友理子、春日井由美子、谷山祐香里、伊藤秀美、池崎裕昭、西田裕一郎、田村高志、三上春夫、嶽崎俊郎、鈴木貞夫、尾崎悦子、栗木清典、高嶋直敬、有澤孝吉、竹内研時、丹野高三、清水厚志、田宮元、寶澤篤、木下賢吾、若井建志、佐々木真理、山本雅之、松尾恵太郎、津金昌一郎、岩崎基
DOI: 10.1111/cas.14824

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