お知らせ

記事一覧
全て
ニュース
成果
プレスリリース
イベント
2021.01.13

三世代コホート調査をもとにした母親のパーソナリティと産後のボンディング障害に関する論文がJournal of Affective Disorders誌に掲載されました

予防医学・疫学部門の村上慶子講師らが執筆した母親のパーソナリティと産後のボンディング障害に関する論文がJournal of Affective Disorders誌に掲載されました。

母親のわが子に対する情緒的絆(ボンディング)の形成力の低下や欠如がみられる状態は、ボンディング障害と言われています。ボンディング障害は、実際の育児行動や親と子の相互作用に影響する可能性が指摘されています。また、これまでの研究から、母親のパーソナリティは精神状態や育児態度と関連することが報告されています。そこで、母親のパーソナリティはボンディング障害にも関連しているのではないかと考え、三世代コホート調査のデータを用い、妊娠中に測定した母親のパーソナリティと産後1か月時点のボンディング障害との関連を検討しました。

その結果、外向性傾向の高い母親はボンディング障害を有する割合が低く、非協調性傾向の高い母親はボンディング障害を有する割合が高いことが明らかになりました。一方、高い神経症傾向とボンディング障害の関連は、産後のうつ症状で説明されました。

パーソナリティは比較的容易に侵襲なく測定が可能であり、妊娠期は医療関係者が母親と接する機会が多いため、妊娠中にパーソナリティを測定することは、産後にボンディング障害を有するリスクの高い母親のスクリーニングに適している可能性が本研究から示唆されました。ボンディング障害を早期にスクリーニングしケアにつなげることで、スムーズな親子関係の形成に貢献できる可能性があります。

書誌情報

タイトル:Maternal personality and postnatal bonding disorder in Japan: the Tohoku Medical Megabank Project Birth and Three-Generation Cohort Study
著者名:Keiko Murakami, Fumihiko Ueno, Ibuki Nakamura, Mami Ishikuro, Aoi Noda, Tomomi Onuma, Taku Obara, Shinichi Kuriyama
掲載誌:Journal of Affective Disorders
掲載日:2021年1月11日
DOI: 10.1016/j.jad.2020.12.187