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2019.11.15

網羅的メタボローム解析手法を用いて肝細胞がんの発症や浸潤に関連する新たなバイオマーカー候補分子を同定:国際学術誌Rapid Communications in Mass Spectrometry誌に掲載

ゲノム解析部門の三枝大輔講師らは、東北大学薬学研究科・医学系研究科、東京大学と北海道大学との共同研究において、新たに開発した網羅的メタボローム解析手法を用い、ヒト肝細胞がんの発症や浸潤に関連するバイオマーカーを発見しました。

この研究は、肝がん患者から得られた、がん部および非がん部の肝組織に対し、質量分析計による生体内代謝物を一斉に分析する(網羅的メタボローム解析)手法を応用し、検出された成分の多変量解析から、がん部において優位に増加あるいは減少する分子を同定しました。また、分子の精密な構造を決定すべく、最新のイオンモビリティ搭載型の質量分析計による分析結果から、がんに特徴的な脂肪酸分子種を含むトリグリセリドであることを明らかにしました。さらに、質量分析イメージング法を用い、がん部と非がん部を同時に含む凍結組織切片上で、各種トリグリセリドの分布を可視化し、がん組織特異的な局在があることを証明しました。
本研究により開発されたメタボローム解析手法は、多種の疾患検体の解析に応用可能であるため、今後東北大学のクリニカルバイオバンク等に保管されている疾患検体のメタボローム解析などにも応用可能であり、未来型医療における疾患バイオマーカーの同定に大きく貢献することが期待できます。

書誌情報

タイトル:Identification of novel biomarkers of hepatocellular carcinoma by a high definition mass spectrometry; UHPLC-QTOF/MS and DESI-MSI
著者名:Koshi Nagai, Baasanjav Uranbileg, Zhen Chen, Amane Fujioka, Takahiro Yamazaki, Yotaro Matsumoto, Hiroki Tsukamoto, Hitoshi Ikeda, Yutaka Yatomi, Hitoshi Chiba, Shu-Ping Hui, Toru Nakazawa, Ritsumi Saito, Seizo Koshiba, Junken Aoki, Daisuke Saigusa, Yoshihisa Tomioka
掲載誌:Rapid Communications in Mass Spectrometry
Published:November 7th, 2019
DOI:10.1002/rcm.8551