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2013.03.07

沿岸部医療の現在を考える、ToMMoクリニカル・フェロー赴任報告会を開催しました(2/25)。

 循環型医師支援システムを担う医師として任命しているToMMoクリニカル・フェローの第1期生が2012年10月~2013年1月の4か月間、地域医療機関に赴任してきた。その報告会が、2月25日に開催されました。機構長、病院長はじめ50名程度が参加し、被災地医療の最新の動向についての報告を聞きました。社会的なインフラが不足し、また、交通の便が悪い中で、厳しい環境の中で勤務する医師の実態が浮かび上がると共に、従来、マスメディア等で言われてきた総合医へのニーズというだけに留まらない複雑な現状も示唆されました。

 今回の報告会で発表したのは、公立志津川病院(現在の一時移転先:登米市米山)、公立南三陸診療所、女川町地域医療センターの3か所に赴任していた4名の医師でした。それぞれより、赴任先の現状・課題などを、時にユーモアも交えて語られました。

 厳しい現状として特に話題に上ったのは、もともと1つの病院だった志津川病院の機能を入院施設(米山町)と診療所(南三陸町)に分けた状況で、往復(約45分)に要する非効率や宿当直の多さなどが挙げられていました。この状況は新しい志津川病院が再建されるまで続くと予想されます。また、生活面でも、勤務時間後に開店している店の少なさや通信環境なども話題に上りました。

 支援が行われたことによるメリットとしては、単純に医療を担う人員が数として充実するのみならず、そのことによって、女川町地域医療センターでは離島への往診が行える回数が増えて活動範囲が広がったことや、専門性が高い医師ならではの医療行為を行うことができた、といったことが報告されました。また公立南三陸診療所では、世界各国や全国からの支援を受けて検査機器等は最新のものが入っていて、検査需要が高い中で専門性を活かすことができたことや、専門である血液・免疫分野の知識を活かして関節リウマチの治療ができた例なども挙げられました。

 今後、専門性が異なる医師間での引継ぎなど、改善すべき課題も具体的に話され、機構として継続的な支援を行っていく上で、活動をより良いものにしていく有意義な報告会となりました。

 東北大学全体としては、大学病院が中心となって新たに「地域医療復興センター(センター長:下瀬川徹病院長)」を設立し、医学系研究科、東北メディカル・メガバンク機構も加えた3部局で、総合的に医療復興支援にあたっていく体制づくりが行われており、循環型医師支援システムとToMMoクリニカル・フェローも、その一翼を今後も担っていきます。

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