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2019.07.23

大規模コホート研究におけるGC-MS/MSによるヒト血漿メタボローム解析の論文が日本プロテオーム学会誌Proteome Lettersに掲載

ゲノム解析部門の三枝大輔講師らが執筆した大規模コホート研究におけるGC-MS/MSによるヒト血漿メタボローム解析の論文が、日本プロテオーム学会誌Proteome Lettersに掲載されました。

この論文では、ガスクロマトグラフ三連四重極型質量分析計(GC-MS/MS)によるヒト血漿に含まれる169代謝物の同時検出手法の開発と、大規模コホート研究で得られた血漿1,028検体の解析へ応用した成果について発表しました。
生体内に含まれる代謝物の集団(メタボローム)は、血液中で幅広い濃度範囲に多数存在することが判っており、病気に直接関連する成分(バイオマーカー)が明らかにされつつあります。しかしながら、血液中の基準値が明確に示されていないことから、バイオマーカー候補分子の精密な評価が遅れていました。ToMMoのオミックス解析室では、インターネット上で広く公開しているデータベースである日本人多層オミックス参照パネル(jMorp)の開発をしており、大規模コホート研究で得られた検体のメタボローム解析から、各代謝物の基準値を明らかにしています。

著者らは初めに血液に含まれる169成分を高感度に一斉に分析できる、ワイドターゲットメタボローム解析手法(WT-Met)を開発しました。また、自動分注器と誘導体化ロボットを導入し、高精度かつハイスループットに多検体を前処理できる方法を開発し、大規模コホート研究に資するシステムを構築しました。さらに、開発したシステムをToMMoのバイオバンクに保管されている血漿1,028検体の解析に応用し、高精度なメタボローム基準値を得ることに成功しました。
本研究で検出されたヒト血漿に含まれる169代謝物の情報は、世界で初めて一般に入手可能なメタボローム基準値であり、jMorpで既に公開されています。また、早期の情報分譲を目指していることから、今後の疾患予防マーカーの開発や創薬研究への応用に大きく貢献することが期待されます。

書誌情報

タイトル:Metabolome Analysis of Human Plasma by GC-MS/MS in a Large-scale Cohort
著者名:Daisuke Saigusa, Naomi Matsukawa, Shu Tadaka, Ikuko N Motoike, Seizo Koshiba
掲載誌:Proteome Letters
Published: July 19, 2019
DOI: 10.14889/jpros.4.1_31

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