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2017.06.02

菊谷昌浩准教授、栗山進一教授、呉繁夫教授らの論文がJournal of Epidemiology誌に掲載されました

菊谷昌浩准教授、栗山進一教授、呉繁夫教授らは、東北大学大学院医学系研究科発生発達医学講座小児病態学分野(宮城県)、岩手医科大学小児科学講座(岩手県)、福島県立医科大学小児科学講座(福島県)のグループと共同で、岩手県、宮城県および福島県の保育所園児において、東日本震災後の過体重の発生割合が有意に高いことを明らかにし、その成果をJournal of Epidemiology誌に報告しました。

<詳細>
研究グループは全国の3,624の保育所にご協力をお願いし、身体測定のデータを集めました。対象者は震災前に保育所を卒園した子ども40,046人(2004年4月2日~2005年4月1日生まれ)および震災時(2011年3月11日)に在園中だった子ども53,492人(2006年4月2日~2007年4月1日生まれ)です(図1)。最初の測定値と、その1年後の測定値を比べることで、過体重の発症を、被災三県とその他の都道府県で比較しました。震災時に在園していた子どもでは、被災三県の園に通う子どもが、その他の都道府県に比べて過体重の発症割合が有意に高くなりました(図2、過体重の子どもの数/対象者数=110/3,551, 3.24% vs 1,120/49,941, 2.24%, P=0.0003)。性別、年齢、疾患既往歴の有無、および肥満度を補正したロジスティック回帰分析でも、その他の都道府県に対して、被災三県での過体重の発症の調整オッズ比は高値でした(1.25, P=0.040)。一方、震災前に保育所を卒園した子どもでは同様の分析を行っても特に所見はありませんでした (図2、調整オッズ比0.80, P=0.12)。
このように震災後、被災三県では保育園児の過体重発症が増加していることが明らかになりました。本研究からは原因の特定は困難ですが、可能性として外遊びの減少、被災直後の食事内容、生活環境の変化などが考えられます。


図1. 震災前に保育所を卒園した子ども(40,046人)、および震災時に在園中だった子ども(53,492人)。両方の集団とも3.5-4.5歳を一回目の身体測定、その1年後を二回目の身体測定にしています。


図2. 1年間で過体重を発症した割合(保育所所在地別)

【用語解説】
※(幼児の)過体重:乳幼児身体発育評価マニュアル(関連リンク参照)に基づき、身長別標準体重に対応した肥満度(%)が15 %を超える状態と定義。肥満度および身長別標準体重は、同マニュアルに基づき下記の式で算出される。
肥満度(%) =(実測体重(kg) - 身長別標準体重(kg))÷ 身長別標準体重(kg) × 100
男子の身長別標準体重(kg) = 0.00206 x 身長2 - 0.1166 x 身長 + 6.5273
女子の身長別標準体重(kg) = 0.00249 x 身長2 - 0.1859 x 身長 + 9.0360

【掲載論文】
Alterations in Physique among Young Children after the Great East Japan Earthquake: Results from a Nationwide Survey
邦題:東日本大震災後の保育所園児における過体重の発症 ― 被災地の子どもの発育状況等に関する全国調査
著者:Masahiro Kikuya, Hiroko Matsubara, Mami Ishikuro, Yuki Sato, Taku Obara, Hirohito Metoki, Tsuyoshi Isojima, Susumu Yokoya, Noriko Kato, Toshiaki Tanaka, Shoichi Chida, Atsushi Ono, Mitsuaki Hosoya, Hiroshi Yokomichi, Zentaro Yamagata, Soichiro Tanaka, Shigeo Kure, Shinichi Kuriyama
掲載誌:Journal of Epidemiology
Available online :30 May 2017
doi:https://doi.org/10.1016/j.je.2016.09.012

関連リンク

厚生労働科学研究費補助金・成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業 東日本大震災被災地の小児保健に関する調査研究

乳幼児の身長体重の現況について

乳幼児身体発育評価マニュアル(横山 徹爾ら、平成24年3月 発行)平成23年度厚生労働科学研究費補助金(成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業)「乳幼児身体発育調査の統計学的解析とその手法及び利活用に関する研究」(H23-次世代-指定-005)

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