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2016.06.06

赤血球造血を支える転写因子GATA1の新たな機能調節機構‐DNA配列によって決まるGATA1の多様な結合のかたち‐【プレスリリース】

東北大学大学院医学系研究科の清水 律子(しみず りつこ)教授らのグループ(分子血液学分野)は、赤血球の分化を誘導する転写因子GATA1(ガタワン)が適切な遺伝子を適切なタイミングで発現させるメカニズムを、DNA配列の多様性の側面から解析し報告しました。

転写因子と病気との関係性の解明は、病気の早期発見や予防、新しい治療法の開発などへ繋がることから近年研究が急速に進んでいる分野です。本研究では、DNA配列のパターンの違いが、GATA1の結合の形・結合するGATA1の数・結合の強さ・転写活性を変化させることを見出し、配列パターンごとに特徴的なGATA1の結合様式をモデル化しました。さらに、ヒトの遺伝性血液疾患家系から見つかった、ある特定のDNA配列パターンのみに対して結合力低下を来すGATA1変異体が、赤血球分化を障害し重篤な貧血を引き起こすことを明らかにしました。この成果は、GATA1の機能を支える重要な基礎的知見です。これによりGATA1を中心とした赤血球分化誘導の分子メカニズム解明、さらにGATA1の機能異常が原因となる血液疾患の発症メカニズム解明に貢献できると期待されます。

本研究成果は、2016年5月27日に米国科学雑誌「Molecular and Cellular Biology」(オンライン版)に掲載されました。

【論文題目】
GATA binding kinetics on conformation-specific binding sites elicit differential transcription regulation.

掲載誌:Molecular and Cellular Biology

プレスリリース本文

 

ID15800_GATA

図1.結合様式の違いとGATA1の転写活性の違い
GATAモチーフのパターンに応じてGATA1の結合様式が適切に形成されることが、赤血球分化を誘導する遺伝子群の発現制御に重要であることが明らかになった。

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分子血液学分野
Molecular and Cellular Biology