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第7回 アスパラガスを食べたらおしっこが…?

アスパラガスを食べた後のおしっこが鼻をつくほどくさいことを皆さんは知っていますか? 日本ではあまり知られていませんが、欧米では一般にも知られているそうです。しかしなぜ、そんなにも強烈なにおいを発するのでしょうか? そもそも日本ではなぜ全然話題にもならないのでしょうか?

2016年、米国の研究チームがヨーロッパ系アメリカ人の男女6,909人を調査しました。そのうち男性58.0%、女性61.5%の人がアスパラガスを食べた後の尿のにおいを嗅ぎ分けられず、さらにこの集団において、嗅覚に関する遺伝子の変異候補を871個発見しました。

こうした遺伝子変異は日本人にも同じように見られるのでしょうか? 2016年発表の前述の論文※1でアスパラガスを食べた後の尿のにおいを嗅ぎ分ける嗅覚への影響が特に強いと示唆された3つの遺伝子変異について、同論文で尿のにおいを嗅ぎ分けられなかったヨーロッパ系アメリカ人と日本人とを比較してみることにしました。今回の比較には、ToMMoの全ゲノムリファレンスパネルiJGVD(3.5KJPN)を使用、日本人3,554人を比較対象としています。iJGVDなど公開されている日本人のゲノム情報は他民族との比較に使用することも可能なのです。

比較した3つの遺伝子変異のうち2つは、尿のにおいを嗅ぎ分けられなかったヨーロッパ系アメリカ人である変異がみられ、日本人にも同様の変異が一定数見られました。残る1つについては、残念ながらiJGVDのデータベース上に確認できませんでした。※2

日本でほとんど話題にならない“アスパラガスを食べた後のおしっこのにおい”は、もしかしたら遺伝子変異がカギを握っているのかもしれませんね。

 

※1 【書誌情報】
論文題名:Sniffing out significant ‘Pee-values’: genome wide association study of asparagus anosmia
著者:Sarah C. Markt, Elizabeth Nuttall, Constance Turman, Jennifer Sinnott, Eric B. Rimm, Ethan Ecsedy, Robert H. Unger, Katja Fall, Stephen Finn, Majken K. Jensen, Jennifer R. Rider, Peter Kraft, Lorelei A. Mucci
掲載誌:British Medical Journal
掲載日:2016年12月13日
DOI:10.1136/bmj.i6071
*ちなみに、論文が掲載された英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)のクリスマス号では毎年、奇抜だが科学的に信頼できる研究の特集が組まれています。

※2 比較した遺伝子変異はrs13373863、rs71538191、rs6689553の3つ。ヨーロッパ系アメリカ人と同様の遺伝子変異が比較対象の日本人にも一定数見られたのはrs71538191とrs6689553。残る1つは、多様な変異がある(multi-allelic)としてiJGVDでは現在、検索対象から外されています。

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