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2013.12.11

第43回インシリコ・メガバンク研究会開催のお知らせ(12月20日)

第43回インシリコ・メガバンク研究会を下記のとおり行いますのでご案内いたします。

今回はYale大学・田中義章先生を講師としてお迎えし、「患者由来iPS細胞をもちいたレット症候群トランスクリプトーム解析」について講演していただきます。

日時:平成25年12月20日(金) 17:00‐18:30
場所:東北メディカル・メガバンク機構2階会議室1

演題:患者由来iPS細胞をもちいたレット症候群トランスクリプトーム解析
講師:田中 義章 先生(Yale University)

・概要:レット症候群(RTT)は女児特異的におこる神経発達障害のひとつであり、生後6-18カ月内に言語障害や運動障害などの症状を示す。レット症候群患者の90%以上はメチル化DNA結合タンパク質のMeCP2に変異を持つ。MeCP2はX染色体上に存在するためX染色体不活性化の影響を受ける。またMeCP2は生存上重要な遺伝子であるため、レット症候群患者は片方のX染色体のみにMeCP2の変異を持つ。これまでにMeCP2欠損マウスやヒト死後脳からRTTに関するさまざまな知見が得られてきたが、レット症候群の早期発達期における疾患メカニズムはまだ十分に理解されていない。近年、我々はレット症候群患者の繊維芽細胞よりiPS細胞(RTT-iPS細胞)を作製し、野生型MeCP2を発現するRTT-wt-iPS細胞クローンと変異型MeCP2を発現するRTT-mu-iPS細胞クローンを単離した。またiPS細胞作製時に、X染色体の再活性化を示すクローンが観察され、野生型と変異型の両方を発現するRTT-bi-iPS細胞も同時に単離した。本研究ではMeCP2の多能性幹細胞における影響を調べるために、これらのRTT-iPS細胞クローンを利用しトランスクリプトーム解析を行った。その結果、スプライシングや細胞周期関連遺伝子などこれまでMeCP2が関与すると報告されていたものに加え、ミトコンドリア関連遺伝子がRTT-mu-iPS細胞において過剰発現をしていることを発見した。またミトコンドリア遺伝子の過剰発現は神経分化後や死後脳でも観察された。さらにRTT-bi-iPS細胞を利用してMeCP2のX染色体における影響も明らかにした。これらの結果は早期発達におけるMeCP2変異が与える影響の理解や新しい治療ターゲットとして重要である。

世話人: 山下理宇、長﨑正朗