お知らせ
- 2026.03.02
「孤立しやすさ」の背景に迫る―日本人6万人の解析から社会的孤立に関わる遺伝的背景を東アジアで初めて解明―【プレスリリース】
発表のポイント
・日本の一般住民6万人超の遺伝情報を解析した東アジア初の成果です。「寂しさ」のような主観的評価ではなく、家族・友人とのつながりを評価する標準化された尺度を用い、遺伝情報を網羅的に解析した特徴的な研究手法を用いました。
・社会的孤立のなりやすさには、遺伝的な個人差が関与する可能性が示されました。また、家族のつながりと友人のつながりでは、関連する遺伝的要因が異なる可能性が示唆されました。
・関連するゲノム領域は、脳や神経系に関わる遺伝子の近傍に位置していました。「孤立しやすさ」の生物学的な背景の解明が期待されます。
概要
人とのつながりは、家庭や職場、地域といった社会的な環境の中で形づくられるものと考えられてきました。しかし同じ地域や職場にいても、家族や友人とのつながりの広がり方には個人差がみられます。その背景にどのような要因が関連しているのかを検討するため、日本の一般住民6万人以上を対象に、遺伝情報を用いた大規模な解析を行いました。東北大学東北メディカル・メガバンク機構分子疫学分野の栗山進一教授らの研究グループは、家族や友人との実際のやり取りの頻度や人数を質問票で数値化し、その情報と数百万か所に及ぶ遺伝情報を統計的に照らし合わせるゲノムワイド関連解析を行うことで、社会的孤立との関連を網羅的に探索しました。その結果、社会的孤立と関連する遺伝的特徴が見いだされ、脳や神経の働きと関係することが知られている遺伝子の関与が示唆されました。一方で、社会的孤立にみられる個人差の大部分は遺伝以外の要因によって説明できることもわかりました。遺伝の寄与の度合いは小さいものの環境要因だけでなく、生物学的な個人差の関与があることが明らかとなりました。「孤立しやすさ」の理解の促進が期待されます。
本研究成果は、2026年2月17日付で医学誌Translational Psychiatryに掲載されました。

図1. 本研究の概要図
論文情報
タイトル:Genome-wide Association Study of Social Isolation in 63,497 Japanese Individuals from the General Population
著者:大瀬戸 恒志、井上 浩輔、髙橋 一平、小原 拓、成田 暁、石黒 真美、大類 真嗣、村上 慶子、野田 あおい、篠田 元気、髙瀬 雅仁、中谷 直樹、小暮 真奈、畑中 里衣子、中谷 久美、千葉 一平、時岡 紗由理、事崎 由佳、清水 厚志、丹野 高三、寳澤 篤、田宮 元、近藤 尚己、栗山 進一*
*責任著者:東北大学東北メディカル・メガバンク機構 教授 栗山進一
掲載誌:Translational Psychiatry
DOI:10.1038/s41398-026-03896-9