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2025.06.25

AIがもたらすバイオバンクの変革についての論文が掲載

AIがもたらすバイオバンクの変革について、国際がん研究機関(IARC/WHO)、米国Mayo Clinic、英国Nottingham大学、中国上海交通大学などの世界各国の専門家のグループにToMMoの荻島創一教授が参画し議論した論文が、この度、国際科学誌Biopreservation and Biobankingに掲載されました。

本論文は、AIがバイオバンクのデータ管理、画像解析、および運営の最適化にいかに活用されているか、世界中の専門家からの視点が示されています。また、AIの応用によって生じる倫理的課題、特にデータプライバシー、セキュリティ、アルゴリズムのバイアス、透明性、およびグローバルな公平性に関する懸念が強調されています。これらの専門家の意見は、AI技術を責任をもって導入し、その潜在能力を最大限に引き出すための倫理的枠組みとガバナンスの必要性を浮き彫りにしています。
この論文の中で荻島教授は、電子カルテの構造化への生成AIの応用や、大規模言語モデル(LLM)によるバイオバンクの利用支援などを紹介しています。従来は利活用が困難であった医師による自由記述を、生成AIにより構造化し、解析・検索可能なデータとして活用する取り組みは、臨床情報の収集・質保証の効率化に貢献することが期待されています。また、LLMを活用した自然言語でのバイオバンクの利用支援は、研究者による高度な検索ニーズに対し直感的なアクセスを提供し、バイオバンク資源の利用促進とオープンサイエンスの推進に資するものです。特に、現代のバイオバンクは、試料だけでなく、臨床情報、ゲノム・オミックス情報、疫学情報等の多様で複雑なデータを提供しており、この膨大なデータを最大限活用するため、多様なデータを複雑な文脈で理解する必要があります。大規模言語モデルによりこの理解が促進されます。これにより、研究を加速するだけでなく、バイオバンクリソースへのアクセスを民主化し、幅広い研究者へ開放することにつながります。

書誌情報

タイトル:Transforming Biobanking with AI: Perspectives from Leading Experts
著者名: Abdelhafiz AS, Henderson MK, Kozlakidis Z, Banerjee I, Mahajan G, Wang WC, Grossman GH, Ogishima S, Quinlan P
掲載誌:Biopreservation and Biobanking
掲載日:2025年6月19日
DOI:https://doi:10.1089/bio.2025.0101