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2025.06.05

乳幼児期のRSウイルス感染とその後の喘鳴発症との関連に関する論文が掲載

東北メディカル・メガバンク計画三世代コホート調査のデータを使用し、乳幼児期のRSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)感染、非RSウイルス感染、呼吸器関連疾患による入院とその後の喘鳴発症との関連を検討した論文が国際科学誌Pediatrics International誌に掲載されました。

これまで乳幼児期のRSウイルス感染とその後の喘鳴発症との関連を検討した研究は複数行われてきましたが、日本人を対象とした大規模なコホート研究は存在しておりませんでした。そこで本研究では日本人集団を対象として、乳幼児期のRSウイルス感染による入院、非RSウイルス気道感染による入院、非RSウイルス感染、呼吸器関連疾患による入院とその後の喘鳴発症との関連ついて検討しました。
東北メディカル・メガバンク計画三世代コホート調査に参加した7,340名の児を調査対象とし、2歳時までの「入院歴なし」、「RSウイルス感染による入院」、「非RSウイルス感染気道感染による入院」、「呼吸器関連疾患による入院」の各カテゴリーと3歳時での喘鳴発症との関連を多変量ロジスティック回帰分析を用いて検討しました。
2歳時までの入院に関する情報と3歳時児の喘鳴に関する情報は養育者の調査票への回答 より収集しました。結果として、2歳時までに入院の経験がない児と比較して、2歳時までのRSウイルス感染による入院 (オッズ比=2.78;95%信頼区間=1.97-3.88)、非RSウイルス気道感染による入院 (2.61;1.44-4.57)、呼吸器関連疾患による入院 (3.33;2.43-4.54)の全てのカテゴリーと3歳時の喘鳴発症との間に有意な正の関連 が検出されました。

本研究により、日本人集団における乳幼児のRSウイルス感染、非RSウイルス感染、呼吸器関連疾患とその後の喘鳴発症との関連が示されました。本研究の成果は、今後の日本人集団における喘鳴に関する研究の基礎資料として活用されることが期待されます。本研究はヤンセンファーマ株式会社と東北大学の共同研究です。

書誌情報

タイトル:Respiratory syncytial virus infection, non-respiratory syncytial virus respiratory infections, and later wheezing
著者名:Ippei Takahashi, Genki Shinoda, Fumihiko Ueno, Fumiko Matsuzaki, Aoi Noda, Keiko Murakami, Mami Ishikuro, Taku Obara, Yoshikazu Nakayama, Atsushi Momose, Naho Tsuchiya, Satoshi Nagaie, Soichi Ogishima, Gen Tamiya, Nobuo Fuse, Atsushi Hozawa, Junichi Sugawara, Shigeo Kure, Shinichi Kuriyama
掲載誌:Pediatrics International
掲載日:2025年5月26日
DOI:10.1111/ped.70050