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2024.04.19

呼気一酸化窒素濃度(FeNO)に関する解析論文を発表

地域住民コホート調査に参加された約2万6千人の方々全体と、推定される健常者亜集団での呼気一酸化窒素濃度(FeNO)の分布と関連因子を解析した論文を発表しました。

推定される健常者亜集団として、上下気道疾患の病歴のない集団(健常者亜集団1)、および上下気道疾患歴がなく、肺機能が正常で、好酸球数や特異的IgEといった2型炎症バイオマーカーが陰性の集団(健常者亜集団2)の2つを用意し、解析をおこないました。

その結果以下のようなことが明らかとなりました。
• FeNOは健康な亜集団1および2において、全対象者よりも低い。
• 健常者亜集団2におけるFeNOの分布は中央値[IQR]は17[12-23]ppb、95パーセンタイルは36ppbであった。このことは喘息および喘息・COPD合併(ACO)の診断補助のために現在日本で使用されているFeNO上昇の指標(≧35ppb)が妥当であることを示唆した。
• 上下気道疾患の既往のない無症状集団である健常者亜集団1のFeNO高値集団では、FeNO低値集団に比べて閉塞性気流閉塞を有する参加者が多く、末梢血好酸球増多、イエダニ特異的IgE陽性者、スギ花粉特異的IgE陽性者が多く存在した。この事実は、健常者亜集団1においてFeNOが上昇した参加者には、喘息を含むFeNO上昇の原因となる未診断の上下気道疾患が部分的に混在している可能性を示唆している。
• 性別とFeNOの関連について、過去の報告は相反する結果を示していた。これまでの解析に比し、比較的大規模な母集団を対象とした本研究では、全対象者および推定された2つの健常亜集団の両方において、男性の性別がFeNOの上昇と独立して正の相関を示した。

本解析結果は、気管支喘息、COPD、およびその合併患者の診断、管理にFeNOを用いる上でカットオフ値など有用な情報を提供するものであり、日常の呼吸器診療に貢献する研究成果です。

書誌情報

英文タイトル:FeNO distribution and its relevant factors in the general adult population and its ‘healthy’ subpopulation
タイトル和訳:一般成人集団とその「健康な」部分集団におけるFeNO分布とその関連因子

著者:Mitsuhiro Yamada, Masato Takase, Kumi Nakaya, Tomohiro Nakamura, Mana Kogure , Naoki Nakaya, Naoya Fujino, Tsutomu Tamada, Chikashi Iwasaki, Manami Suzuki, Shuichiro Matsumoto, Nobuo Fuse, Akira Uruno, Kazuki Kumada, Soichi Ogishima, Shinichi Kuriyama, Masakazu Ichinose, Hisatoshi Sugiura, Atsushi Hozawa

掲載誌:Journal of Allergy and Clinical Immunology: Global

Available online 8 April 2024

DOI:10.1016/j.jacig.2024.100253