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2024.03.13

妊娠高血圧症候群と児の発達との関連に関する論文が掲載

三世代コホート調査をもとにした妊娠高血圧症候群と児の発達との関連に関する論文がActa Obstetricia et Gynecologica Scandinavica誌に掲載されました。

幼少期の発達遅延は、就学後も継続する可能性があり、早期のスクリーニングとサポートが重要と考えられます。妊娠高血圧症候群(Hypertensive disorders of pregnancy: HDP)は、児の発達遅延との関連が示唆されていますが、先行研究ではその関連性が明確に示されてきませんでした。また、HDPは早産や児の低出生体重などのリスクにもなりますが、HDPと児の発達との関連に、生まれた時の健康状態がどの程度介在するかは検討されてきませんでした。そこで、三世代コホート調査によって、HDPと児の発達との関係および、生まれた時の状態がこの関連に介在するかどうかを明らかにすることを目的としました。

三世代コホート調査に参加の妊婦さんのHDPの発症割合は10.4%でした。研究の結果、発達に関する5つの領域(コミュニケーション、粗大運動、微細運動、問題解決、個人・社会)で、生後24ヶ月における発達の遅れの可能性がある児の割合は9.2-17.6%、生後42ヶ月では11.9-13.8%でした。5つの領域を詳細に見たところ、コミュニケーション領域及び個人・社会領域で発達の遅れの可能性と関連していました。また、この関連は生まれた時の状態で一部変化が見られました。一方で、生後42ヶ月時点の発達の遅れの可能性との関連は認められませんでした。

本研究から、HDPの予防や治療が重要であることが示唆されました。また、早期のサポートにつなげるため、特に妊娠中HDPが認められた場合には、生後24ヶ月時の発達の評価も重要である可能性が示唆されました。

書誌情報

タイトル:Hypertensive disorders of pregnancy, neonatal outcomes and offspring developmental delay in Japan: The Tohoku Medical Megabank Project Birth and Three‐Generation Cohort Study
著者名:Geng Chen, Mami Ishikuro, Hisashi Ohseto, Keiko Murakami, Aoi Noda, Genki Shinoda, Masatsugu Orui, Taku Obara, Shinichi Kuriyama
掲載誌:Acta Obstetricia et Gynecologica Scandinavica
公開日:2024年3月7日
DOI:10.1111/aogs.14820