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2024.01.19

妊娠中の血圧管理状況とお子さんの出生時の健康状態について報告した論文が掲載

三世代コホート調査の結果から、妊娠中の血圧管理状況とお子さんの出生時の健康状態について報告した論文がHypertension Research誌に掲載されました。

妊娠高血圧症候群は、お子さんの在胎不当過小*1、低出生体重、早産等のリスクがあると言われており、妊婦中の血圧管理は、お母さん、お子さん双方にとって重要です。しかし、実際に治療が必要な血圧値については、国内外のガイドライン間で統一された基準がありません。今回、三世代コホート調査にご協力いただいているお母さんの妊娠初期~中期の降圧薬使用情報と妊娠20週以降の血圧値を基に、「降圧薬使用なし・血圧正常(収縮期血圧140mmHg未満かつ拡張期血圧90mmHg未満)群」、「降圧薬使用なし・血圧高値(収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上)群」、「降圧薬使用あり・血圧正常群」、「降圧薬使用あり・血圧高値群」に分け、お子さんの在胎不当過小、低出生体重、早産、入院有無、アプガースコア*27点未満の割合を比較いたしました。
一例として、在胎不当過小についての結果をご紹介いたします。「降圧薬使用なし・血圧正常群」と比較して、「降圧薬使用あり・血圧高値群」では、在胎不当過小の割合が高値でした。また、「降圧薬使用なし・血圧高値群」でも在胎不当過小の割合が高値でしたが、「降圧薬使用あり・血圧正常群」では統計学的に有意に高値ではありませんでした。対象となる方が少ないことも結果に関係していることも考えられる一方、降圧薬使用が関係している可能性も考えられます。

本研究の結果から、お子さんの健康状態に対しても血圧値が重要であることが考えられます。特に、妊娠中の収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上で管理が必要である可能性が示唆されました。降圧薬を使用した血圧管理の有効性については、無作為化比較試験*3でのさらなるエビデンスが求められます。

用語説明

*1 お子さんが在胎期間に応じた体格基準よりも小さく生まれること
*2 お子さんが生まれた時の健康状態の評価に用いるスコア
*3 対象となる方を、ランダムに介入する群と介入しない群にわけて実施する研究

書誌情報

タイトル:The association between blood pressure control in women during pregnancy and adverse perinatal outcomes: the TMM BirThree Cohort Study
著者名:Mami Ishikuro, Taku Obara, Keiko Murakami, Fumihiko Ueno, Aoi Noda, Tomomi Onuma, Masahiro Kikuya, Hirohito Metoki, Shinichi Kuriyama
掲載誌:Hypertension Research
公開日:2024年1月18日
DOI:10.1038/s41440-023-01570-x