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2022.09.20

妊娠中の社会的孤立と産後ボンディング障害に関する論文がArchives of Women’s Mental Health誌に掲載されました

予防医学・疫学部門の村上 慶子講師らが執筆した妊娠中の社会的孤立と産後ボンディング障害に関する論文がArchives of Women’s Mental Health誌に掲載されました。
母親のわが子に対する情緒的絆(ボンディング)の形成力の低下や欠如がみられる状態は、ボンディング障害と言われています。ボンディング障害は、長期にわたる母児関係や児の発達に影響する可能性が指摘されている重要な母子保健の課題です。社会的サポートの少ない女性ほどボンディング障害を有する割合が高いという関連がこれまでの研究で示されてきましたが、社会関係の提供元(家族、友人など)によって関連が異なるかは明らかではありません。また、近年懸念が高まっている社会的孤立との関連も明らかではありません。そこで、三世代コホート調査の自記式調査票データを用いて、妊娠中における家族からの孤立・友人からの孤立と産後ボンディング障害の関連を検討しました。
妊娠中に社会的に孤立している(Lubben Social Network Scale 短縮版 (LSNS-6)※12点未満)割合は19.7%でした。社会的に孤立している妊婦は、孤立していない妊婦と比較して産後にボンディング障害を有する割合が1.55倍高かったです。産後にボンディング障害を有する割合をLSNS-6の下位尺度別にみると、家族から孤立している妊婦は1.40倍、友人から孤立している妊婦は1.44倍高かったです。
妊娠中は医療関係者が母親と接する機会が多いため、妊娠中に社会的孤立をスクリーニングし介入につなげることで、産後のボンディング障害の予防につながる可能性が本研究から示唆されました。

※Lubben Social Network Scale 短縮版 (LSNS-6):ネットワークサイズや接触頻度とともに情緒的・手段的サポートを評価する6項目(家族に関する3項目、友人関係に関する3項目)から成る尺度

書誌情報

タイトル:Social isolation and postnatal bonding disorder in Japan: the Tohoku Medical Megabank Project Birth and Three-Generation Cohort Study
著者名:Keiko Murakami, Mami Ishikuro, Taku Obara, Fumihiko Ueno, Aoi Noda, Tomomi Onuma, Fumiko Matsuzaki, Saya Kikuchi, Natsuko Kobayashi, Hirotaka Hamada, Noriyuki Iwama, Hirohito Metoki, Masahiro Kikuya, Masatoshi Saito, Junichi Sugawara, Hiroaki Tomita, Nobuo Yaegashi, Shinichi Kuriyama
掲載誌:Archives of Women’s Mental Health
DOI:10.1007/s00737-022-01266-0
Published:17 September 2022