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2022.09.15

cmgh誌に発表 ~食道上皮におけるNRF2活性化細胞の運命~

転写因子NRF2が活性化した「NRF2活性化がん」は、食道扁平上皮がん中で30%以上を占め、予後が悪いことが知られています。しかし、NRF2活性化細胞そのものが、がん化するか否かは分かっていません。

今回、山本雅之機構長を中心とした研究グループは食道上皮中にNRF2活性化細胞と正常細胞が混在するモデルマウスを作出し、解析してみると、NRF2活性化細胞は確かに異形な細胞形態を示し、異形成を構築しました。しかし、同細胞は細胞競合により積極的に食道上皮から排除されてしまい、がん化しませんでした。一方、シングルセルRNAseq解析を用いることで、その排除の際に、周囲の正常細胞が代償的な過剰増殖を行い、それを通してDNA傷害を受けることを見出しました。また、発がん剤により、正常細胞に由来するがんの形成が促進されました。

今後の焦点は、NRF2活性化型の食道がんが発症するメカニズムの解明です。

この成果は現地時間2022年9月14日に Cellular and Molecular Gastroenterology and Hepatology に掲載されました。

書誌情報

タイトル:Selective Elimination of NRF2-Activated Cells by Competition with Neighboring Cells in the Esophageal Epithelium
著者名:Wataru Hirose, Makoto Horiuchi, Donghan Li, Ikuko N. Motoike, Lin Zhang, Hafumi Nishi, Yusuke Taniyama, Takashi Kamei, Mikiko Suzuki, Kengo Kinoshita, Fumiki Katsuoka, Keiko Taguchi and Masayuki Yamamoto
掲載誌:Cellular and Molecular Gastroenterology and Hepatology
DOI : 10.1016/j.jcmgh.2022.09.004
Published:September 14, 2022