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2021.05.19

神経難病・視神経脊髄炎スペクトラム障害に特徴的な自己抗体は体の異なる部位で産生されていた【プレスリリース】

抗MOG抗体関連疾患の病態理解に貢献

研究のポイント

• 自己免疫性の神経難病である視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)に特徴的な自己抗体である抗アクアポリン4抗体と抗MOG抗体について、患者由来の血液と脳脊髄液における抗体価を比較し、体内における産生部位を調べた。
• 髄液中の抗アクアポリン4抗体は、ほとんどが血液で産生されたものが髄液中に移行してきたものだったが、髄液中の抗MOG抗体の多くは髄腔内で産生されたものであることが示された。
• 抗MOG抗体陽性患者の神経学的症状は、従来の抗アクアポリン4抗体陽性患者の視神経脊髄炎とは異なる、特異的な病態であることが示唆された。

研究概要

視神経脊髄炎スペクトラム障害は、視神経炎や脊髄炎などの神経症状を中枢神経系において不定期に繰り返す自己免疫性の神経難病です。
東北大学大学院医学系研究科の青木正志教授、東北医科薬科大学医学部の中島一郎教授、東北大学病院総合地域医療教育支援部の赤石哲也助教(研究当時、東北大学東北メディカル・メガバンク機構に所属)らのグループは、視神経脊髄炎スペクトラム障害に特徴的な自己抗体とされる抗アクアポリン4抗体と抗MOG 抗体が、患者体内の異なる部位で産生される可能性があることを報告しました。本研究は、抗MOG抗体陽性の症例における神経学的症状と抗アクアポリン4抗体陽性の症例における神経学的症状が、異なる病態機序をもつ独立した疾患群であること、また抗MOG抗体を有する症例では血液中だけでなく髄液中における同抗体の存在も重要であることを示唆する報告です。
このような抗体産生部位の違いが、両疾患の表現型や臨床経過にどのように関わるのか、今後の更なる解明が望まれます。
本研究成果は、2021年5月12日、米国神経学会学会誌Neurology誌(オンライン版)に掲載されました。

発表論文

雑誌名: Neurology
タイトル: Difference in the Source of Anti-AQP4-IgG and Anti-MOG-IgG Antibodies in CSF in Patients With Neuromyelitis Optica Spectrum Disorder
著者: 赤石哲也、高橋利幸、三須建郎、金子仁彦、髙井良樹、西山修平、小川諒、藤盛寿一、石井正、青木正志、藤原一男、中島一郎
DOI: 10.1212/WNL.0000000000012175

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