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2018.08.27

実環境下での鍵配信速度10Mbpsを超える高速量子暗号通信の実証に世界で初めて成功

東北大学東北メディカル・メガバンク機構と株式会社東芝(以下、東芝)は、東芝および東芝欧州研究所傘下のケンブリッジ研究所が開発した高速量子暗号通信技術を用いて、既設の光ファイバー回線を利用し、一ヶ月以上にわたり平均10Mbpsを超える鍵配信速度での量子暗号通信に世界で初めて成功しました。光ファイバー回線を介してデータ伝送を行うためのアプリケーションを構築し、高速量子暗号通信技術と組み合わせて、実環境においても実用レベルの鍵配信速度が実証されました。また、既設光ファイバー回線を常時監視する無線センサーネットワークを同時に構築・運用し、年間を通じた天候変化・振動等によって生じる光ファイバーの特性変化と量子暗号通信の性能特性との関連性を明らかにしました。これにより、高速量子暗号通信の実用化に大きく近づきました。本技術および実証内容の詳細は、8月27日から31日に中国上海で開催される国際会議「QCrypt 2018」(注1)にて発表します。

医療データや金融取引等、秘匿性の高い情報がネットワークを介してやり取りされるIoT時代の暗号通信技術には、非常に高いレベルの安全性が求められます。量子暗号通信では、光の粒子である「光子」1個に1ビットのデータを載せて送受信します。光子は盗聴があると状態が変化し、確実に盗聴を検知することが可能なため、量子暗号通信は、量子コンピューターを含むあらゆる盗聴・解読に対して安全性が保証されます。そのため、機密データのバックアップや医療データ伝送といった秘匿性の高いデータを扱う通信アプリケーションへの導入が期待されています。一方、量子暗号通信の実用化に向けては、既設の光ファイバー回線を用いたデータ通信アプリケーションに組み込んだシステムの開発と、そのシステムを長期間安定的に動作させる実証が必要でした。

東北大学東北メディカル・メガバンク機構と東芝は、共同研究として、東芝および東芝欧州研究所傘下のケンブリッジ研究所が開発した高速量子暗号通信技術を、ゲノム解析データの通信を行うアプリケーションに導入したシステムを開発し、フィールド実証実験を行いました。本実証では、東北大学東北メディカル・メガバンク機構(仙台市青葉区星陵町)および東芝ライフサイエンス解析センター(仙台市青葉区南吉成)に量子暗号装置を導入し、この間約7kmに敷設された光ファイバー専用回線を介した通信を行いました。また、配信された暗号鍵を管理する仕組みや、連携して動作するデータ暗号処理ソフトウェアなどを開発して組み込み、上記2拠点間で、ゲノム解析データを量子暗号通信技術によって暗号化し伝送するシステムを構築しました。本システム上で、量子暗号鍵配信の速度を継続的に安定化させることに成功し、一ヶ月以上にわたる連続動作において平均10.2Mbpsの鍵配信速度を達成しました。10Mbpsを超える速度での量子暗号鍵配信を、実環境で実証したのは世界で初めてとなります。
さらに、上記敷設光ファイバー回線に無線センサーネットワークを導入して、年間を通じ温度変化・降雨・積雪・強風・地震などによって生じる敷設光ファイバーの振動等の通信外部環境変動を測定し、量子暗号通信性能との関係性について明らかにしました。
東北大学東北メディカル・メガバンク機構は引き続き、ゲノム情報に基づいた未来型医療の実現に向け、安全・安心なICT技術の活用を推進してゆきます。
東芝は引き続き、医療・金融・通信インフラ等の多様なアプリケーション・ユースケースでの量子暗号技術の実用化を目指した運用実証等を進めてゆきます。

(注1) 量子暗号技術の研究者を対象に年1回開催されている国際会議。第8回目の開催となる8th International Conference on Quantum Cryptography (QCrypt 2018, http://2018.qcrypt.net/)は、中国科学技術大学により、中国・上海の上海国際会議センターにて8月27日から31日にかけて開催される。

ゲノム解析データを暗号化して伝送する量子暗号通信システム(仙台市)

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