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2016.03.31

宮城県の産科医療における東日本大震災の影響について論文を発表

地域医療支援部門 母児医科学分野 菅原準一教授は、厚生労働省の科学研究費補助金にて、東日本大震災時の妊産婦の病院前分娩・救急搬送について調査を行いました。
このたび、この成果をまとめた論文が Prehospital and Disaster Medicine 誌に 2016年3月23日付でオンライン公開されました。

【論文名】
Impact of the Great East Japan Earthquake on Regional Obstetrical Care in Miyagi Prefecture
Junichi Sugawara, Tetsuro Hoshiai, Kazuyo Sato, Hideki Tokunaga, Hidekazu Nishigori, Takanari Arai, Kunihiro Okamura and Nobuo Yaegashi
DOI: 10.1017/S1049023X1600025X
Published online: 23 March 2016

【論文の概要】
妊産婦、そしてその子どもたちは災害後の地域の再興・発展において重要な役割を担います。しかし、妊産婦が災害弱者であるという認知は我が国では一般的ではありません。
こういった認知度の問題もあり、これまで災害時の妊産婦がどのような状況に置かれたか、詳述したレポートはほとんどありませんでした。
今回の調査では、宮城県内全産科施設、宮城県内全消防署を対象としました。宮城県内全産科施設では、震災後2ヶ月間で217名の妊産婦が、搬送や避難により予定分娩施設を変更せざるを得なかったことがわかりました。宮城県内全消防署では、病院に到着する前の分娩は震災前(2010年)で8件でしたが震災時(2011年)には23件に著増、妊産婦救急搬送は598件が807件に増加したことがわかりました。
母体搬送後の新生児の予後については、震災時であっても比較的良好でした。早期の母体搬送が積極的に行われたためではないかと考えられます。
災害時には救急搬送要請があっても病院に辿りつけるとは限りません。有事対応のために、病院前救護を目的とした研修や、病院間における情報共有のシステム構築が必要です。
また、大災害が妊産婦やその子どもに与えた影響については、長期的な視野で見守ることが肝要です。

関連リンク

災害に備えた平時からの母子保健・産科医療の連携状況に関する調査報告