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2015.12.09

「気道上皮細胞におけるタンパク質分解酵素」についての論文が Inflammation誌に掲載されました

東北大学東北メディカル・メガバンク機構 人材育成部門の鈴木洋一教授らは、「インターフェロンによる気道上皮細胞のマトリックス・メタロプロテアーゼ13の誘導とその遺伝子の新しい機能性遺伝子多型の同定」についての論文を発表しました。この成果は Inflammation 誌 に12月4日付でオンライン公開されました。

■研究内容 
 マトリックス・メタロプロテアーゼ(MMP)は、コラーゲンなどを分解することで、臓器の構築に関係したり、体に異物が侵入した時の反応のプロセス(炎症)に関係しているタンパク分解酵素の一種です。MMPは類似したものがヒトでは24類ありますが、今回解析したのは13と番号がついているMMP-13です。気道上皮細胞は、酸素と二酸化炭素の交換の場所である肺胞へつながる空気の通り道を裏打ちしている細胞で、空気中の細菌やウイルスにいつも曝されています。気道上皮細胞にウイルスが付着すると、気道上皮はウイルスが来たことを周りに伝えるために、インターフェロン、サイトカイン、ケモカインと呼ばれる物質を分泌します。
 今回の研究で、MMP-13はウイルスが細胞に付着したという刺激やインターフェロンの刺激で、遺伝子の発現が千倍以上に上昇し、細胞外に大量に分泌することが分かりました。MMP-13の働きを抑えると、インターフェロンによるIP-10やRANTESという炎症を促すケモカインの分泌が抑えられる事が分かりました。
 MMP-13は気道上皮の感染防御の一端を担っていると考えられます。MMP-13の働きを抑える薬剤は、喘息の発作や肺炎などの気道の炎症を抑える可能性が出てきました。

【論文】
Induction of the Matrix Metalloproteinase 13 Gene in Bronchial Epithelial Cells by Interferon and Identification of its Novel Functional Polymorphism
Yoichi Mashimo, Mika Yageta-Sakurai, Misa Watanabe, Takayasu Arima, Yoshinori Morita, Yuzaburo Inoue, Kazuki Sato, Toshiyuki Nishimuta, Shuichi Suzuki, Hiroko Watanabe, Akira Hoshioka, Minako Tomiita, Akiko Yamaide, Yoichi Kohno, Yoshitaka Okamoto, Naoki Shimojo, Akira Hata, Yoichi Suzuki
Inflammation, pp 1-14, Published online 04 December, 2015 
DOI: 10.1007/s10753-015-0291-1,  PMID: 26635116
論文名邦訳:インターフェロンによる気道上皮細胞のマトリックス・メタロプロテアーゼ13の誘導とその遺伝子の新しい機能性遺伝子多型の同定

関連リンク

原著論文(Inflammation)
人材育成部門