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2015.12.01

東北メディカル・メガバンク計画「全ゲノムリファレンスパネル」の情報公開を拡充します~同パネル上の全SNV/SNPのアレル頻度情報~

東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)では、推進する東北メディカル・メガバンク計画におけるコホート調査への協力者のDNAをもとに、大規模な全ゲノム解析を行ってきました。2013年11月には、約1000人分の全ゲノム解析が完了したことを発表し、2014年8月には、1070人分の全ゲノム解析データをもとにした「全ゲノムリファレンスパネル」の一部の情報(アレル頻度5%以上の一塩基変異(SNP)のうち、国際的なデータベースに既に収録されていたものの頻度情報)を当機構に専用ウェブサイトiJGVD (integrative Japanese Genome Variation Database)*1を設けて一般公開しました。また、当該データは全て、NBDC(バイオサイエンスデータベースセンター)にも寄託されて公開されていました。
この度、ToMMoでは、この1070人分の全ゲノム解析データをもとにした「全ゲノムリファレンスパネル」について、国際的な学術誌へ投稿した論文*2が採択されるなど、本パネルの情報をより広く利活用頂ける環境が整ったと判断し、情報公開範囲を大幅に拡充する方針を決定しました。

概要

【新たに公開する情報】
 1,070人の全ゲノム解析情報に基づくアレル頻度情報 頻度0.047%(2,140アレル中、存在1アレル)~頻度5%の頻度情報
【公開方法】
 東北大学東北メディカル・メガバンク機構 専用ウェブサイト iJGVD (integrative Japanese Genome Variation Database) による
 *なお、NBDCへも当該データの寄託を依頼する予定
【公開条件】
 非営利目的・個人同定禁止等を謳った利用規則への同意を行うこと(なお、同意は、ウェブサイトを通じた簡易な手続きを想定している)
【公開予定】
 東北メディカル・メガバンク計画に設けられた試料・情報分譲審査委員会において上記方針等が審議され承認後、準備が整い次第

本情報公開は、東北メディカル・メガバンク計画に設けられた倫理面を検討する学外有識者を中心とした会議等、複数の審議を経ています。特に以下の点について議論がなされています。
(1) 個人特定
今回公開される情報のみによって、参加者個人の特定に結びつくことは想定されていませんが、他の情報と結びつけてこの情報を利用することなどによって個人の特定につながりうる行為を、情報利用者に対して禁止します。(また、営利目的の利用、無断再編集の禁止に同意していただきます。)
特に低いアレル頻度情報が参加者個人を想起させる可能性についての指摘があるため、今回の公開においては、個人特定に結びつくことがないように、このアレル頻度情報の公開を、他の情報の公開とは独立に行います。
(2)疾患関連情報
今回公開される特に低いアレル頻度情報の中には、疾患と強く結びついているものや、現在は知られていないものの、将来、疾患との結びつきが判明され得る情報が含まれている可能性があります。一方、低いアレル頻度情報には、いわゆる次世代型シークエンサーの解析におけるエラー等が一定数含まれることが容易に想定されるなど、本パネルの情報から、現時点で参加者個々人の疾患リスクを高い精度で確定することは難しいと判断しています。これらのことを、各利用者がよく理解した上で利用するように促します。

なお、東北メディカル・メガバンク計画では、提供者の利益につながる解析情報の、提供者への回付を検討しています。しかし、上にも述べたように次世代シークエンサーの解析精度等も考慮すると、低いアレル頻度の変異情報の信頼性は、提供者への回付には不十分であり、回付にあたっては、変異情報の確認の過程を経ることが必要と判断しております。

公開に向けた具体的な日程や、上述の利用規則等については、当サイト等で後日詳報していきます。

*1 iJGVD : http://ijgvd.megabank.tohoku.ac.jp/
*2 Nature Communications 6, Article number: 8018 doi:10.1038/ncomms9018. 2015. Rare variant discovery by deep whole-genome sequencing of 1,070 Japanese individuals