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- 2026.06.24
妊娠中の母親の心血管の健康と児の発達に関する論文が掲載
妊娠中の母親の心血管の健康と、出生児の4歳時点の発達との関連を検討した論文が、国際科学誌 JAMA Network Open に掲載されました。
子どもの発達遅延は、日常生活、社会性、学習、メンタルヘルスに影響し得る重要な健康課題です。妊娠中の胎内環境は出生後の発達に関わると考えられていますが、食事、身体活動、睡眠、血圧などを総合した母親の心血管の健康と児の発達との関連は報告が少なく、十分に解明されていませんでした。
今回の研究では、東北メディカル・メガバンク計画三世代コホート調査に参加した母子8,238組を対象に解析を行いました。母親の妊娠中の心血管の健康は、質問紙、血液検体およびカルテ情報に基づき、米国心臓協会が提唱する健康評価指標「Life’s Essential 8」を用いて評価しました。この指標は、食事、身体活動、ニコチン曝露、睡眠、体格指数(body mass index)、血中脂質、血糖、血圧の8項目から構成されます。本研究では、これらの評価に基づき、母親を健康的な方から高・中・低の3群に分類しました。児の発達は、保護者が回答する発達スクリーニング尺度である日本語版Ages and Stages Questionnaire, Third Editionを用いて、4歳時点で評価しました。コミュニケーション、粗大運動、微細運動、問題解決、個人・社会の5領域のうち、いずれかの領域で発達遅延のリスクがあるかを評価した結果、発達遅延のリスクがある割合は母親の心血管の健康の高群で8.8%、中群で12.1%、低群で16.8%でした。高群と比較して、中群、低群のリスク比はそれぞれ1.30、1.62であり、発達遅延のリスクが高いことが示されました。
本研究により、妊娠中の心血管の健康不良が、出生児の発達遅延リスクの高さと関連する可能性が示されました。ただし、本研究は観察研究であり、この結果は直接的な因果関係を示すものではなく、母親の健康状態によって子どもの発達が決定づけられることを意味するものでもありません。また発達の評価はスクリーニング指標に基づくため、今後は客観的評価を組み合わせた検証が期待されます。
書誌情報
タイトル:Maternal Cardiovascular Health During Pregnancy and Offspring Developmental Delay
著者名:Hisashi Ohseto, Mami Ishikuro, Geng Chen, Ippei Takahashi, Genki Shinoda, Aoi Noda, Keiko Murakami, Masatsugu Orui, Masato Takase, Noriyuki Iwama, Masahiro Kikuya, Hirohito Metoki, Atsushi Hozawa, Taku Obara, Shinichi Kuriyama
掲載誌:JAMA Network Open
掲載日:2026年6月23日
DOI:doi:10.1001/jamanetworkopen.2026.18804