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2025.11.27

妊娠高血圧症候群と小児発達パターンとの関連を検討した論文が掲載

妊娠高血圧症候群と小児発達パターンとの関連を検討した論文が総合医学誌JAMA Network Openに掲載されました。

小児は著しい発達段階にありますが、同じ発達段階であっても発達のパターンは胎児期に影響を受ける様々な環境に由来する可能性があります。中でも妊娠高血圧症候群(HDP)は妊娠中の代表的な合併症であり、その発症時期や重症度の違いが、出生後の発達に異なる影響を及ぼす可能性があります。本研究は、HDPとそのサブタイプおよび小児の発達パターンとの関連を明らかにすることを目的としました。

東北メディカル・メガバンク計画三世代コホート調査の参加者のうち、母児の14,023ペアを対象にしました。 発達を評価する指標であるAges and Stages Questionnaires, 3rd editionを用いて、6ヶ月、12ヶ月、24ヶ月、42ヶ月、48ヶ月時点における発達の5領域(コミュニケーション、粗大運動、微細運動、問題解決、個人・社会)を評価し、latent class trajectory model*により発達パターンを3群(正常、追いつく、遅れ)に分類し、HDPサブタイプ別のリスクを比較しました。

その結果、HDP、妊娠高血圧腎症(PE)、および早発型PEでは、複数の発達領域において発達の遅れを示す可能性が高い傾向がみられました。特に早発型PEでは、問題解決領域で遅れを示す可能性が有意に高く、コミュニケーション、粗大運動、微細運動の各領域でも約2〜3倍リスクが上昇する可能性が認められました。正期産児のみを対象とした解析では、PEと問題解決領域の遅れとの関連のみが明らかとなりました。一方、早産児では関連領域は少ないものの、正期産児よりも高いリスク上昇との関連が示されました。

本研究により、HDPは出生後の複数の発達領域に影響を及ぼす可能性が示されました。特に、胎児期に母が早発型PEを発症した場合では、出生後の発達経過を注意深く見守る必要があることが示唆されました。また、早産児においては、発達の遅れが顕在化しやすい可能性があるため、早期からの定期的なモニタリングや支援体制の整備が重要と考えられます。

用語解説

Latent class trajectory model:個人ごとの発達や症状の変化を長期的に追い、その変化の傾向(軌跡)に基づいて、いくつかのパターンに分類する統計モデル。多様な経過をデータから見いだすことができます。

 

書誌情報

タイトル:Child Developmental Patterns by Age 4 Years Across Subtypes of Hypertensive Disorders of Pregnancy
著者名:Geng Chen, Mami Ishikuro, Hisashi Ohseto, Aoi Noda, Genki Shinoda, Masatsugu Orui, Taku Obara, Shinichi Kuriyama
掲載誌:JAMA Network Open
掲載日:2025年11月26日
DOI:10.1001/jamanetworkopen.2025.45719