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2018.08.30

東北メディカル・メガバンク機構、 日本人多層オミックス参照パネル(jMorp2018) 公開したメタボローム解析情報の人数が1万人を突破【プレスリリース】

発表のポイント

・ 日本人多層オミックス参照パネル*1(jMorp)のメタボローム解析対象者数を10,719名に拡張しました。平成29年度更新時の5,093名から2倍以上に拡張し初めて1万人を超えることで、参照パネルとしてより高い信頼性が得られました。

・ 今回新たにガスクロマトグラフ三連四重極型質量分析装置(GC-MS/MS)をメタボローム解析に活用することで、高精度に169種類の代謝物の測定に成功しました。これにより、更に多くの種類の代謝物の統計情報を提供できるようになりました。

・ また液体クロマトグラフ三連四重極型質量分析装置(LC-MS/MS)により、尿毒症関連代謝物の高感度定量に成功し、新たにjMorpに加えました。これら尿毒症物質は腸内環境や生活習慣に依存する代謝物で、様々な疾患に関わることが報告されている重要な分子です。これらの代謝物の基準値を新たに提供することで今後の医学・生物学研究に大きく貢献します。

東北大学東北メディカル・メガバンク機構(機構長:山本雅之、以下ToMMo)は、日本人多層オミックス参照パネル(Japanese Multi Omics Reference Panel、以下 jMorp)のメタボローム解析人数を従来の2倍以上の10,719人に拡張しました。jMorp は、ToMMo が世界で初めて500人以上の血漿の網羅的メタボローム*2及びプロテオーム*3統合解析を完了し、2015年7月2日に解析結果を公開したデータベースで、2018年6月からは約3,500人分の全ゲノム解読情報に基づくアレル頻度情報を加え、生命科学の総合的な解析情報を収めています。
メタボローム解析は、ゲノム情報と病気などの表現型をつなぐ中間の情報として近年注目を集め始めていますが、2018年8月現在、いまだ500人以上のメタボローム解析結果を公開しているデータベースは世界中でjMorpしかありません。
このたびデータ規模の拡大に加えて、
・ GC-MS/MSの活用で、新たに150種類以上の代謝物の測定データを追加
・ LC-MS/MSの活用で、尿毒症関連代謝物の高感度精密定量データを追加
という新たな拡張を行い、また本年6月から同一のプラットフォームで公開を行っているゲノム情報との連携で、疾患バイオマーカーなどの発見に大きく寄与していくことが期待されます。

【用語等説明】
*1. 日本人多層オミックス参照パネル:大規模な人数のオミックス解析を行った結果を総合し、各代謝物やタンパク質の分布や頻度情報などをまとめると共に、数千人規模の全ゲノム解読に基づくSNVの頻度情報を盛り込み、今後のオミックス研究の参照情報となるもの。将来的には診療情報や生活習慣情報などと統合することにより、我が国における次世代医療を目指す研究に幅広く活用可能なデータベースとなることが期待される。なお、オミックス解析とは、生命を構成する様々な生体分子(ゲノム、RNA、タンパク質、代謝物等)を網羅的・包括的に解析する方法である。
*2. メタボローム解析:オミックス解析の一つ。生体中の代謝物を網羅的に解析する方法。ToMMoでは、核磁気共鳴(NMR)法と質量分析(MS)法を用いている。核磁気共鳴(NMR)法とは、生体分子を含む様々な分子を強力な磁場の中において、分子中の各原子が持つ核磁気モーメントを計測することにより、分子の構造や量を測定する方法。定量性に優れているのが特徴である。質量分析(MS)法とは、物質を荷電粒子に変え、質量電荷比(m/z)にて分離されたスペクトルとして検出する方法。生体内、食品及び環境に含有される様々な物質の存在量を測定することができる。網羅性に優れているのが特徴である。
*3. プロテオーム解析:オミックス解析の一つ。生体中のタンパク質を網羅的に解析する方法。ToMMoでは質量分析(MS)法を用いている。

プレスリリース詳細(PDF)

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