複合バイオバンクと分譲

2. 複合バイオバンクと分譲

2-1. 概要

当計画のバイオバンクは、各種健康情報とゲノム等の解析情報を複合させた複合バイオバンク(Integrated Biobank)です。コホート調査参加者の生体試料のほか、解析済みのゲノム・オミックス情報などのデータを蓄積し収集した試料・情報は積極的な分譲を進めています。

コホート調査で収集している試料・情報

当計画バイオバンク事業関連のデザイン(論文)

2-2. バイオバンク構築の進捗と成果
2-2-1. 品質管理とセキュリティの構築

当バイオバンクでは、人為的ミスを防ぐために、検体の登録から、分注・試料調製と冷凍保管、遺伝子解析のためのDNA抽出、不死化細胞の樹立などのほとんどの過程をバーコードを使ったLIMS(Laboratory Information Management System)により管理し、多くの工程においてロボットを用いた自動化を実現しています。このため、問題が発生した場合には工程を遡って原因を追究し、問題を根本的に改善することができます。また、機構内のバイオバンク室、統合データベース室、試料・情報分譲室では、国際標準化機構(ISO)の品質マネジメントシステム(ISO 9001)、ならびに情報セキュリティマネジメントシステム(ISO 27001)の認証を取得し、国際的に見ても高い試料の品質と厳格な管理体制を維持しています。また、プライバシー保護と、試料・情報分譲などによるデータシェアリングの実現という、相反する課題の克服のため、データを機微性の度合いによって階層分けしてアクセス権限や方法を管理しています。

2-2-2. 生体試料の収集とバイオバンクの構築

コホート調査によって得られた多種多様な試料をバイオバンクに保管しています。
血液は、血清・血漿・バフィーコートに分けて保管。バフィーコートからはさらにDNAを抽出し、また白血球からは細胞を抽出し保管しています。他にも母乳、歯垢、尿、唾液など、それぞれを適切な環境で管理・保管しています。バイオバンクに保管されている生体試料の総計は2020年6月現在、約380万本です。
また、東北大学病院と東北大学未来型医療創成センター(INGEM)が行っている、病院で取得された疾患検体を保管するクリニカルバイオバンクにも協力しています。

2-2-3. 収集した情報と解析データの集積

コホート調査で収集される調査票情報、検体検査情報、地域支援センターで検査される詳細検査情報、および血液由来検体を多様な手法で解析した情報は、それぞれの情報、そして生体試料と紐づけ可能な形で複合バイオバンクとして管理、保管しています。また、追跡調査における調査票や疾患情報、詳細二次調査で取得された情報など情報量は年々増加しており、それらの情報を一括で管理、保管しています。

2-2-4. 試料・情報分譲と統合データベース

コホート調査の健康調査情報及び全ゲノム配列情報を含む生体試料の解析情報は、統合データベース「dbTMM」に格納し、制限付公開をしています。dbTMMでは、東北メディカル・メガバンク計画で収集した性別、年齢、検体検査情報(血液検査値、尿検査値)、調査票(飲酒、喫煙、運動、食事等の生活習慣・環境曝露)、ゲノムのジェノタイプ情報、メタボローム測定値等のすべてのデータを検索することができます。利用者はdbTMMの閲覧により目的に沿ったものが存在するか確認し、外部委員による審査を含む分譲の手続きを経て試料・情報を入手します。なお、分譲対象の概要は、統合データベースdbTMMカタログで公開しています。
DNAや細胞などの試料や機微性の高い情報は、申請および研究計画公示さらにMTA締結が必要です。分譲には一定の手数料程度の費用が発生します。試料・情報分譲を受けて実施した研究結果から得られた知的財産権は基本的に分譲先に帰属します。
個人特定につながらない統計情報等については、インターネット上で、日本人多層オミックス参照パネル(jMorp)でデータ公開しています。
試料・情報の共同研究・分譲でデータシェアリングを実施してきた結果、2020年6月時点で、138件の共同研究、36件の分譲を実現するとともに、383報の外部研究者を主体とした論文の出版につながりました。

2-3. 今後の展望

コホート参加者の継続的な試料・情報を保管する複合バイオバンクを構築し、国内のバイオバンク・コホート間連携によりバイオバンクの試料品質や管理方法の標準化や利活用促進を図ります。
ライフコースに渡るデータを集積する統合・知識データベースを構築するとともに、共通認証基盤を有するクラウド環境を整備し、外部機関との連携を推進します。